小話27 偉人伝

「私たちが以前出会ったケイリュウさん。相良さんが遭遇したっていうエント人デデグ。それに今回のケルー。アルカナやマグニ関連を抜きにしても、やはりエントという惑星は地球とは異なるロジックを持っているわね」


「そうだね。空気とは重力とか、地球人が過ごすのに問題がないくらい環境が似てるから気づきにくいけど、やっぱり全然違う惑星なんだよね。空も青くないし」


「以前はこの惑星も空は青かったんですよ?」


「え、そうなんですか!?」


「マグニが攻めてきて数日、惑星全体を覆うように霧が蔓延して、そのせいであのような歪な色になってしまいました。きっとあの向こう側では今でも青い空が広がっているはずです」


「そう考えるとやっぱり似ているのね。トーラさんやケイリュウさんといったエント人も地球人と変わりないし」


「そういえばお二人は剣豪・ケイリュウにお会いしたんですよね!?」


「ええ、幽霊みたいなもんでしたけど」


「是非その話を詳しく聞かせてください! 私たちが生きた時代よりも更に大昔の伝説の偉人なのです!」


「ず、随分食いつきがいいのね。そんなに興奮することなのかしら?」


「きっと僕たちでいうところの織田信長とか坂本龍馬と実際に会って話をしたって感覚なんだと思う」


「そう言われてみると少し納得。地球人、というより日本人なら大騒ぎする人が大勢いそうだもの」


「剣豪・ケイリュウはどんな感じでしたか!?」


「そうね……豪快でカラッとした方だったわ。普段はどこか緩い雰囲気を醸し出しているけれど、時折いくつもの修羅場をくぐり抜けてきたであろう凄みを感じさせるような」


「話し方も武士っぽかったし、それもあって気持ちいい性格の中に逞しさと勇ましさを感じたよね。まぁ口調がああなってたのは蝉丸さんの影響が強いんだけど」


「蝉丸さんというのはケイリュウが身体をお借りした方ですよね!? その方にも是非お話を! こうしてはいられません! 早速聞いてきます!」


「えぇ!? あぁ……行っちゃった……」


「物凄い熱量だったわね。トーラさん落ち着いてしっかりした方だと思っていたけれど、意外とアグレッシブなところあるのよね」


「僕も最初は門藤さんに似た感じなのかなって思ってたけど、実際はかなり沢山食べたり、今回みたいにはしゃいだり、ちょっとおちゃめなところがあるのがわかったよ」


「それだけ私たちに心を許して馴染んできたってことなのかしら。何にせよ、変に気を使われてないようで良かったわ」


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