小話9 TAROTのこれから
「ふぅ、ようやく一息だな」
「所長、お疲れ様です」
「お疲れ様です。みんなの様子はどうです?」
「あぁ、里中君、代神子原君、ご苦労だね。各分隊長を除いて今は皆身体を休めているよ。莉央君も、酷い状態だが命に別状はない。死人が出なかったのは幸いだ。奇跡と言ってもいい」
「所長の開発したマグニウェーブランチャーのおかげですよ。大活躍だったじゃないですか」
「それは兵頭君に言ってあげなさい。頑張ってくれたのは彼だ。私はアイディアを形にしたに過ぎない。
それに、マグニウェーブランチャーの開発も、矢尾君の発明を使わせて貰った部分もある。そもそも富加宮君や八坂君、我妻君と相沢君の力の転用で大元の装置を造ることができたのだ。結局私一人の力ではない」
「そんなことないですよ。そんなことを言い出したら、僕だって大したことできずにこの部屋で騒いでいたことになってしまいますよ」
「所長、あまり自身を卑下しないでください。私たちみんな、あなたの方針に従って進むと決めたんです。あの時から。
今回は意見を押し通して討伐に向かってしまいましたが、結果的に被害は甚大だったわけですし、所長は間違っていませんでした。」
「だが最終的にはエルマグニを討伐することができた。もし私の意見を通していたら、この先もエルマグニの脅威に怯え続け……いや、止めよう。これ以上は時間の浪費だ。
皆の言葉を素直に受け止めるとしよう。私のやって来たことは、無駄ではなかったんだな」
「そうです。みんな所長には助けられています」
「所長のおかげで、みんな頑張れてこれたんです」
「二人とも、改めてありがとう。さて、そのエルマグニの件だが、結君からその後連絡は?」
「残念ながらまだ。こちらからコンタクトを取る手段が無いのは、やはり不便ですね」
「彼女何故かIDサーチを外してるんですよね。おかげで居場所が特定できなくて……何でそんなことしてるんだろう?」
「ふむ。彼女は不可解な行動をとることは多いが、決して考え無しでの行動はしない。再び彼女からの連絡を待つ他ないか……」
「もどかしいですが、先に他のことを進めましょう」
「うむ。今後TAROTは大きく動くことになるだろう。
既にエルマグニのいたポイント0で未知のエネルギー反応が確認されている。今まで調査のできなかったポイント0。もしかしたら大きな足掛かりになるかもしれない。各員十分な休息を取得後、調査団を結成して徹底的に調べてもらおう。
各支部長への報告事項も山積みだ。二人とも、悪いがまた忙しくなるぞ」
「望むところです!」
「私たちにできることなら、何なりと」
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