第13話 発動!マグニウェーブ作戦 チャプター8 今度の敵はデカ・スゴだ!

莉央SIDE


 「私が連れてけって言ったの」


 貸してくれていたアヤと憐の肩から腕を下ろして前へ出る。


 まだ若干足がふらつくけど、そんなことより言いたいことがある。


 「さっきの通信聞いたよ。結が何かしてくれたんでしょ? だから今、ここでエルマグニを倒す!」


 兵頭さんは驚いた顔をした。けどすぐに呆れてため息をつく。


 そして真剣な表情で問いかける。私が無茶を通そうとするとき、大抵はこういった流れになる。今までに何度もあった流れだ。


 「そのふらふらな状態でか? AGE‐ASISSTは残弾がほとんど残っていない。早瀬も奏も結構力を使っちまっている。今無理してやるより出直した方がいいんじゃねぇか?」


 『そうですよ! それに全体的に弱体化し、更に不死身ではなくなったエルマグニですが、それでも強さはまだ圧倒的です。万全の状態でも勝てるか怪しいのに損耗した今この状況で挑むのは無謀です!』


 ミーコから通信が入る。うん。正しい。正しいよミーコは。でもね……


 「ミーコ、それに兵頭さんも、確かにそうなんだけど、今ここで仕留めないとまずい気がするんだ」


 「いつもの勘か?」


 「それに、わがまま言っちゃうとさ、倒せるんだったら今すぐにでも私はエルマグニあいつを倒したい」


 視線で倒れこんだエルマグニを指す。


 背中の傷はもうほとんど塞がっている。やっぱり弱体化しても通常のマグニよりは再生が早い。でもこれなら、やりようによっては本当に倒せてしまうかも。そう思うには十分だった。


 「グェブルルルルゥアアァァァァァァァ!!!」


 起き上がって咆哮を上げる。考える時間はもう無い!


 「お前らはどうなんだ?」


 兵頭さんは私以外に訊ねる。


 「私は反対。頭で考えるならね。でも、莉央さんの直感は無視できない。勝機があるのならここで仕掛けるべきなのかも」


 愛美はそう言ってくれた。実質賛成か。


 「僕も、最悪無理だとわかった時点ですぐに引けば戦闘データも取れるし、やってみる価値はあるかと」


 憐も賛成。いつも思うけどこの子は意外と大胆な思考してる。


 「はっきり言って素直に引いた方がいいと思うけど、あたしもやられっぱなしは嫌なのよね。やるんだったらマジのガチでやってやるわよ」


 ハヤミは分かりやすいね~。


 「ぼくはどちらにせよ皆さんを守ります。絶対に」


 奏、なんか強くなったよね。精神的に。


 「アヤはどう?」


 流れは賛成に傾いてるけど、アヤはこういうのに流されないから、理詰めで反対されそう。


 「やるなら早くしろ。もういつこちらを攻撃してもおかしくはない」


 「おっ! いいんだね?」


 珍しいじゃん。


 「所長、反マグニエネルギーは後どれだけもつ?」


 『残量を見るに残り三分程度が限界だろう』


 「全員聞いたな。俺がエルマグニを弱体化させられる三分間が勝負だ。必ずその間に止めをさせ。

 指令室、AGE‐ASISST全隊に報告してくれ。ここでエルマグニを撃滅する!」


 『了解。全隊に連絡、これより――』


 「三分か、一秒も無駄にはできんぞ」


 「これだけの数がいると連携命ね。声出していくわよ」


 「よーしっ! みんな円陣組んで! 《今度の敵はデカ・スゴだ。 エルマグニ撃滅大大作戦》開始!」


 「了解!」


 さあ、決戦といきますか!


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