第13話 発動!マグニウェーブ作戦 チャプター6 倒せるようにしました

TAROT本部・メジャーベース指令室


 「第六分隊は南西へ回って第八分隊と合流。鵜飼君、第九分隊へ狙撃地点の座標を送って。

 指令室里中から第四分隊へ、三十秒後に第九分隊と――」


 「こちら指令室代神子原、エルマグニ体内のエネルギーが活性化、ビーム攻撃に備え――」


 慌ただしく各分隊へ指示を出し、解析結果を基に作戦を練る。里中・代神子原のオペレーター・アナライザーコンビ。鵜飼・田中の非常勤メンバーや本部長の江崎も加わり、ここ指令室でも戦いは繰り広げられていた。


 「兵頭君、もうマグニウェーブランチャーのエネルギーは残り少ない。無茶をしてはいかんぞ!」


 『くっそ! おい里中、救出班はどうなっている?』


 「まもなく第三分隊と合流できるはずです」


 『いつまで待たせやがる』


 現場の隊員たちの体力も、武器の残弾も底が見え始めていた。


 一刻も早く救出班と合流して撤退する必要がある。が、エルマグニの攻撃は激しさを増すばかり。この調子では例え救出班を逃がしたとしても隊員たちの撤退は困難。糸口を見つけられないまま時間が過ぎていく。


 「っ!? 警戒! エルマグニの保有エネルギーに変化が!」


 代神子原はエルマグニの異変に気付いた。その変化が意味することは見当がつかなかったが、それまでとは異なる唐突な変化に、皆に警戒を仰ぐ。


 エルマグニにいったい何の変化が? まだ見ぬ攻撃か? あるいは更なるパワーアップか? アナライザーの代神子原は恐怖で冷や汗が止まらなかった。


 『グゥルルルルル……』


 エルマグニがその大きな腕を振り上げる。そのまま地面を勢いよく叩けば、その場所にはクレーターができ、それを中心に地割れが広がるだろう。


 だが――


 『グオオォォォォォォォッ!?』


 エルマグニはその腕を振り下ろすことはなかった。


 突然背中から火花が飛び散ったかと思うと、そのまま前に倒れこむ。


 背中には大きな切り傷が出来ており、それは再生されず、いや、正確には再生が始まっているが、今までのように瞬時に傷が塞がってしまうことはなかった。


 『どうした!? 何が起きた!?』


 兵頭から通信が入る。代神子原は応対するが、彼自身も何が何だか分からず、戸惑いながらの返答だった。


 「僕にも何が何だか……ただ、エルマグニの再生速度が著しく低下しています」


 ピー! ピー! ピー!


 指令室に突如鳴り響く音。オペレーターへの緊急連絡通信だ。


 この目まぐるしく状況が変わっていく非常時の中、それでもどこの誰だと里中が応対した。


 「こちら本部」


 『里中さん、手塚結です」


 「へ? 結ちゃん!? 今どこに……って訊きたいところだけど今緊急事態で……」


 『エルマグニとの戦闘中でしょ? 今エルマグニを倒せる状態にしたところです。ついさっき背中に一撃入れておきました」


 「ちょ……ちょっと待って!? え? ……まさかあの背中の傷は結ちゃんが!?」


 『傷を確認して貰えばわかると思いますけど、再生速度が通常のマグニと同じかやや早い程度にまで低下しています。今の状態なら許容量以上のダメージを与えばエルマグニを倒せるはずです』


 「待って! 色々と訊きたいことがありすぎて……」


 『とにかく! 今が絶好のチャンスです。話している暇はないと思うので一旦切りますね』


 「あっ、ちょっと……! 結ちゃん!? 結ちゃん!?」


 ツー、ツー、ツー……


 情報だけ一気に与えられ、整理の付かないまま一方的に緊急回線は切てしまった。


 「里中君、相手は結君かね? 何と言っていた?」


 「その、エルマグニを倒せる状態にしたと……」


 「なんだって!?」


 「どういうことですか里中さん!?」


 報告を聞いた江崎も、代神子原も大声を出して驚いた。声こそ出さなかったが、その場にいた鵜飼や田中もその情報に目を丸くしている。


 「確かにエルマグニの再生速度は低下していますが……まさかさっきのエネルギー変化ってこのことだったのか?」


 「とにかく、現場へこの情報を共有します」


 「あぁ、どうやら誤った情報ではないようだ。詳しい話は後にして今は目の前のことに集中しよう」

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