第5話 墨西哥山椒魚の呪い! チャプター4 頻出する怪
先輩がウーパールーパーマグニを倒した翌日。再びウーパールーパーマグニが出現した。
「はぁっ!」
今日は我妻さんが対処に当たった。尻尾を切断され、慌てふためくマグニ。顔周りの特徴的なエラから電撃が発せられる。
『マキシマムチャージ』
マキシマムを発動した我妻さんは電撃を強化された銃撃で相殺。その際に生じた爆炎を突っ切り、剣による連撃を喰らわせ、蹴りで大きく吹っ飛ばす。
堪らず、地中へ潜ろうとするマグニだが、我妻さんはそれをさせなかった。
『マキシマ・オーバーストライク』
光の刃を伸ばし、撓らせ、離れた場所からマグニの腹部を貫いた。
逃げる手段を失ったマグニはじたばたと足掻くも、貫かれた腹部から光のヒビが徐々に身体中を侵食し、やがて爆散した。
さらに翌日。またしてもウーパールーパーマグニが現れた。今度は僕の番だ。
「はぁ!」
振るった剣が腕でガードされるが……
『マキシマムチャージ』
強化された刀身をめいいっぱい引くように斬り払い。切断された腕が宙へと舞う。がら空きになった腹部に銃を乱射し、押しのける。
『マキシマ・オーバーストライク』
怯んだ隙をつき、必殺銃撃が炸裂! マグニは爆散した。
また次の日。この日もウーパールーパーマグニは現れた。今回も先輩が相手になる。
「でやあああっ!」
空中で身体の軸を真横にした状態での回し蹴りがマグニの頭部にヒットする。そのまま地面に叩きつけられるように地に伏すマグニ。そして慌てながら地中へと姿を消した。
離れた場所から顔を出し、水圧弾が放たれるが、足元に展開された黄色い魔法陣から土壁がせり上がり、水圧弾を防ぐ。
『オーバードライブ』
土壁が崩れると同時に、マグニの足元と頭上に二つの黄色い魔法陣が展開される。
「《マジカ・ロックキューション》」
魔法陣から尖った岩が出現し、上下からマグニを圧殺。爆散した。
そして……
「だぁ!」
また翌日。当然の様にウーパールーパーマグニは出現した。今日は勝賀瀬さん。跳び蹴りがマグニに炸裂し、後退する。
堪らず潜水するが……
『マキシマ・オーバーブレイク』
銃をパスに装填し、目を瞑って意識を集中する。
「そこ!」
撃つと同時にマグニが顔を出した。水圧弾を発射する時間も与えず、必殺の銃撃が喉を貫き、実にあっさりとマグニは爆散した。
その日指令室にて。
「やっぱり絶対におかしいわよ!」
先輩が叫ぶ。
「これで五日連続よ!? それだけマグニが出続けるのも珍しいのに、全て同型だなんて前代未聞よ」
「たしかに。連日に渡って同型がこんなにも頻出するなんて、今までにないね」
「再生したということはないかしら? マグニの自然治癒力は驚異的ですし、同じ個体が毎日復活していると考えれば説明がつくんじゃないでしょうか」
「全員木っ端みじんにしたのに? いくら何でも奴らにそこまでの再生力はないわよ」
「ね、それならほとんど不死身だし、今までの奴らも倒せていないことになるよ」
「謎は深まるばかりですね……」
「なんか明日もまた出てきそう」
マグニを倒したというのに、僕たちの周りには不穏な空気がはりつめていた。
保育施設【笑顔】
結局、マグニのことは分からず仕舞い。元気な子供たちの姿を眺めながら、それでも頭の中はマグニのことでいっぱいだった。
何故同型ばかりがこうも連日で現れるのか。単なる偶然という可能性も無くはないが、やはり気になる。
このまま放っておくと、後に取り返しのつかない事態になりそうな予感さえしてくる。この未知に対する恐怖感は神隠しに遭い、ここに来たばかりの時に感じたものに少し似ていた。
「おにいちゃん、これあげる」
そうやって俯いて考えていると、蒼空君が僕に何かを手渡しにやってきた。
手渡されたのは折り紙で折ったカエル。後ろを押さえつけて放すとピョンと跳ねる簡単なギミック付きのカエルだ。
「ありがとう。でも何でカエルなの?」
「これ見ておもしろかったからせんせーにおりかたおしえてもらったの」
以前一緒に読んだ生物図鑑を取り出す。どうやら相当カエルが気に入ったらしい。
僕も小さい頃はカエルを集めて虫かごに何匹も放り込んでたっけ。それで家の中で脱走して母さんや姉さんにしこたま怒られた記憶がある。
「カエルか……たしかウーパールーパーもカエルと同じ両生類だったよな」
ふとそんなことを思い、生物図鑑をかしてもらう。
「両生綱有尾目メキシコサンショウウオ。別名ウーパールーパー……これだ!」
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