第11話



これといって食べたいものがないために2人は、上のほうにあるバーベキューができる場所で軽く焼肉を食べることにした。

この後もぼちぼち食べ歩きをする予定なので少な目のラム肉のセットを頼んだ。



「いやぁ…若者はすごいねぇ。

まだ、アトラクションで遊んどるよ。」


「ミーちゃん、そんな老けてないで景色を見なさいな。

いい感じに色づいてて綺麗だよ。」



辺りを見回すと赤と黄色のコントラストの山々が広がる。

山の中の為に少々肌寒いが、歩いていれば問題ないだろう。



「んじゃ、ぼちぼち次にいきますか。」



ミナトがそう言った後に向かったのが、トロッコにのって射撃をする場所だった。



「ふ…このわたしにかかれば…。」


「はいはい、そのセリフは終わってから言いましょうねぇ。」



誰しもが通る厨二病のポーズをとりながらアホな事を言うミナトを、まるで子供をあやすような優しく甘い声色で言葉を返すツチヤ。


結果としては、案の定惨敗だったミナト。



「ふ…この私にかかれば…。」


「ミーちゃん…!」



負けじと同じセリフを言うミナトに言葉を失い、口に手を当てたツチヤ。

きっと涙が出る位無様な姿だったであろう。




ホテルのチェックインもある。

ツチヤはそういいながら、無様なミナトの手を引いて園内を出た。




ニセコに向かう道は、片道を少し戻る。

道の駅を目印に青看に従い道を進む。



前方には、青い空を背景に羊蹄山(ようていざん)が広がっていてとても良い景色だ。


富士山のような綺麗な形状をしている為に蝦夷富士(えぞふじ)等と呼ばれているが…実際に富士山を見た事がない為、2人は綺麗な山だなー位の気持ちで羊蹄山を眺めていた。



羊蹄山の麓には、名水百選に選ばれた湧水公園がある。

綺麗な林と川がある場所で、名水目的以外にも紅葉や桜を楽しめたりする。


本日は、時間も時間なので立ち寄るのは明日の予定だ。



道中の2人の目的は、ただ一つ。

物資の確保だ。



スキー、温泉、カヌーの川下り、気球体験や、目を惹かれる道の駅。

北海道でも指折りの観光名所ニセコだが…ここも自然豊富な北海道ならではの弱点がある。


住宅街のある場所以外は、コンビニやスーパーが少ない。



勿論、宿には売店があるが…閉まる時間帯も早い上、お土産に重きを置いている為に夜食やおやつの種類が少し物足りないのだ。


それならば、道中のコンビニや道の駅で買った方が選択肢も多い。

ニセコ旅行を予定している方がいたら、コンビニを見つけ次第しっかりとオヤツ等の買い物をする事を強く強くオススメする。



道中のコンビニで、オヤツや飲み物を買いたくさんのお酒の量を2度見したツチヤを他所にミナトは車を走らせた。



今宵の宿は、やや贅沢をしようと少しお高めの宿を選んだ。

月をモチーフにしたロゴの和風な宿だ。



近くには、地獄谷もあり車を降りると鼻に纏わりつくような硫黄の匂いがする。


だが、ここには温泉旅行を愛し長けた人間しかいない。

この程度、造作もないわ。


そんな事を考えながら腕を組みドヤ顔するミナトを見たツチヤは、呆れたような表情を浮かべて荷物とミナトの手を握り月をモチーフにしたロゴのついた暖簾を潜り宿の中に入っていった。















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ミナトさん旅行記 ニセコ編 鷹美 @astta1x224

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