第5話 佐伯先輩と雷使いの俺がデートする話
佐伯愛
彼女は我が青峰学園では知らないものはいないとまで言われる。これは彼女の持つ美しい顔立ちに引けを取らない内面にもあるのだろう。
なんでも、入学した次の日には彼女を一目見ようとクラスの前にたくさん男子が沸いたそうだ。容姿端麗、頭脳明晰このふたつを持つ彼女は全男子高校生の憧れなのであろう。
「(なーんて、みんなおもってんだろうなー)」
そんなことを思いながら朝食を作る俺ことケンタは今日は大事な約束がある。そう、その生きる伝説こと佐伯先輩とデートだ。待ち合わせの時刻までまだだいぶ時間がある。
「(にしてもどーしたら、先輩の勘違いだって分かってもらえるのかなぁー。)」
結局あの後、昼休みいっぱいまで話を聞かされて授業に危うく遅刻しそうになってしまった。
「(先輩悪い人じゃなさそうだし、しっかり伝えればわかってくれるかな…)」
◯
待ち合わせ場所の噴水場の前で待ってると、しばらくして佐伯先輩が来た。
「ごめんね、待たせちゃって暑かったでしょ。」
「大丈夫でーす。今きたところですから。」
と平然と言う俺だったが一度言ってみたいセリフだったので内心では少し心が躍っていたがッ、そんなことは言わない。
「(わかるよね! 言ってみたいよねこのセリフ???)」←独り言
「ところで、今日はどちらへ行くんですか?」
「もちろん、キシセンコラボ限定カフェにいきます。」
「はぁー やっぱりですか…
映画とか遊園地とかがよかったなー(ボソッ)」
どうせ、聞こえないだろうとボソボソと呟いてみたがやはりこの人の耳には聞こえてないらしい。
「なんでも、そのカフェ
コラボデザートのクオリティがものすごく高いそうよ! 私たちファンには堪らないよね! これとか見て! ケンタくんが大好きなツヴァインの装備 雷蔵をイメージしたカフェなんだって! 」
「(いや、誰だよ! ツヴァインって!
それと、私たちファンって俺ちげーよ!)」
と心の中で思わず叫んでしまったケンタであった。
興味のないアニメのカフェにわざわざ休みを使って佐伯に同行するのは、それなりの理由がある。その理由とはただ、佐伯がかわいいのだ。
「(てゆーか、あの妙な一面を除けば本当にこの人可愛いんだよなー あの一面を除けばの話だけど… )」
そんな彼女はそんなこと思われてることに気づくはずもなく謎のポーズと共に聖剣ヘクスカリバーッッッ!!と叫んでいた。なんだそれ!(エクスカリバーではないらしい)
「(まぁ、かわいいからいいわ、)」
「ライジング・サンダーッッッ!!!」
「痛ったぁ!」
突然、ケンタにチョップを繰り出すのはもちろん佐伯。
「 …くん! もうっ!ケンタくんたらっ! 行くよ!
あんまりよそ見とかしてたらカフェ行けなくなっちゃうよ!」
「(いっけねぇ! 見惚れてた、、)」
カフェは心底どうでもいいが、佐伯との初デートには興味があるケンタは急ぐのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます