第2話
そして、黄金の秋が終りを告げる。
地には枯葉が降り積もり、空は分厚い雲に覆われ、冬の到来を予感させる。
冬は、僕が最も嫌いな季節だ。
木々からは葉が抜け落ち、動物たちは眠りゆく。そして、この白銀の憧憬。
視界を全て覆い尽くす雪。音も立てずに降りつける雪は、気付かぬ間に人を孤独にさせる。朝になれば太陽が雪に反射をし、目を焦がし。
夜になれば黒と白だけが支配する世界となり、この世はたった二色だけで全てを埋め尽くされてしまう。
皆は心を苛み、そして孤独を加速させる。閉鎖的で、生命を感じさせず、永遠に同じ風景が続いていく何もない世界。
なにかもが声をなくし、形をなくし、命をなくす。
そんなものを僕は好きになれなかった。来るべき冬に備え、僕は生き残らねばならない。
花瓶には水が入ったまま。まだ入れていた花の残り香がする。命の匂いだ。
その花がここにいた証拠。証だ。僕は忘れることはないだろう。その赤き花の姿を。
きっと。
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