第16話 装備は性能より見た目
前回のあらすじ:カッコいいよね仕込み杖。
お目当ての武器を無事購入した私とカルナは購買部の中にあるアイテム売り場に来ていた。こちらは武器売り場とは違い、現実の学校にあるような購買部と変わらない造りになっている。
ここで売られているのは回復や状態異常解除用の使い切りアイテムと、バフ効果のあるアクセサリー類だ。ちなみにリヴァイアちゃんから貰った麻痺耐性の指輪もここで売られていた。
私は特に必要なモノもないので何も買うつもりはなかったのだけれど、こうして色々と見ているとつい欲しくなってしまうな。中でも面白いと思ったのが、ピュアミーではミルクティーやチョコといった、女子中学生が好きそうなもの(偏見)が回復アイテムとして扱われていることだ。このようなディテールに拘ってるゲームとフレーバーテキストが堪能なゲームは良作という法則が私の中にあるので、こういうのを見ているだけでテンションが上がってしまう。
ただ、買い物をしていて1つ疑問が。この購買部には服、つまりコスチュームが売っていない。確かにピュアミーには防御力、並びに防具の概念は無い。だけど女の子向けのゲームなんだから着せ替え要素ぐらいは有るはずだ。カルナの着ている白衣もそうだろうし。どこで売っているのだろうか?
「なあカルナ、コスチュームってどこで買えるんだ?」
「……………………………………」
また氷のような冷たい目で睨まれた。うーん、何に怒ってるのかわからないぞ。
「なんで知らないんですか、本当にストーリー攻略する気あるんですか」
「ご、ごめん…」
まあこれから一緒に攻略しようって人が何も知らなかったら、そうなるわな。
「コスはお店では売ってませんよ。イベントなどを起こして自力で手に入れるしかないです」
あ、教えてはくれるんだ。優しい。
「なるほど、イベントってのは例えばどういうのなの?」
「例えば私のこの白衣でしたら、保健室の椅子に掛けてあった白衣を合計何時間か室内で着続けたら貰えるといったものでした。たまたま保険室内に留まる理由があったから良いものの今思えばなかなか苦行な条件ですね。このように特定の場所で特定の行動をすると取得できるのと、他にはクエスト中にアクションを起こせば貰えることがあるみたいです」
めっちゃ詳しく教えてくれた。
「あれ?変身後のコスも同じ条件なのか?」
「違う条件ですね。ミーティア形態のコスはストーリーを進めるか特定の強敵を倒すことによって開放されていきます。ちなみに面白いことに、どういうコスになるかはプレイヤーのロールプレイ値、つまり今までどういうプレイングをしてきたかとかどういう武器を使ってきたかによって決まるんです!例えば刀武器メインのプレイヤーは和風チックな見た目になりますし、隠密プレイをしていれは隠れやすそうな無駄のない暗い見た目になるんですよ!まあ、変わるのは見た目だけで実際は性能に差はないんですけどね!強さの証みたいなもんです!私は両手杖遠距離攻撃魔法メインですのでメイジのようなコスチュームになるんでしょうか?フフフ、今から楽しみです」
待ってましたと言わんばかりにいつもの1.2倍速で捲し立てるカルナ。身振り手振りも加えてなにやら楽しそうだ。
ははーん、何となくだけどカルナのことが分かってきたぞ。
取り敢えずもう一つ気になっていた質問をぶつけてみる。
「でも私とカルナでストーリー進行度変わらないのに変身後コスの色とか模様とか違うよね。それはどういう仕様?」
私の魔法少女形態はオレンジ色、カルナのは黒色。てっきりどこかで買ったりカラーリングを変える施設があるのかと思ってたけどそうでもなさそうだ。
「何言ってるんですか!戦闘コスのカラーリングは髪の色を基調としているってのは『魔法戦姫』シリーズの基本でしょうが!」
「魔法戦姫っていうと、日曜朝にやってるあれか。同じ魔法少女ものだけど関係あるのか?」
日曜朝7時から放送されています御長寿女児向けアニメ『魔法戦姫』シリーズ。女兄弟がいない私にとっては無縁のアニメ作品だ。
「関係大ありですよ!そもそも魔法戦姫シリーズを作ってるのはピュアミーと同じホープ社ですし、キャラクターデザインも同じ高田洋子さんです!貴方が今着ている制服も、変身後の服も、全部全部高田さんがデザインしたんですからね!てかどう見ても変身後のデザインはシリーズ11作目の『魔法戦姫ラッキー☆ハッピー』のセルフオマージュじゃないですか!それ以外にもそこら中に魔法戦姫要素が散りばめられているのに、なんでこのゲームにいるロリコンどもはそれに気が付かないんですかねぇ、はーやだやだ」
うん、今のカルナの喋りで確信した。これはあれだ、カルナはいわゆる
なるほど、それなら今まで事あるごとに私に冷ややかな目を向けてきたことの合点がいく。ガチでやってる人からすれば、私みたいなロリコンがよく調べもせずゲームを攻略だのなんだの言っていたらそりゃムカつくだろうな。
それにしても、ピュアミーにこういった魔法少女ガチ勢がいるとは思いもしなかった。ロリコンが居なければカルナも楽しいピュアミーライフを送れていたと罪悪感が…
「なんかごめんな」
「デザインの良さを理解して貰えたならそれでいいです」
たぶん私が何に謝っていたか理解したないだろう。まあ理解されたらされたで話はもっとややこしくなるだろう。
カルナがショップメニューの操作を止め、再びこちらに振り返る。
「お待たせしました。私の買い物も済んだので先に進みましょう」
「ああ行こうか。ちなみに何を買ったの?」
「アクセサリー類全部買いました。今のところ白衣しか服持ってないのでアクセサリーぐらいでしかお洒落できないのが世知辛いですよね」
「全部!?」
おいおい、購買部のアクセサリー全部買おうとしたら何十万ってお金が必要になるぞ。カルナの進行度でそんなにお金を持っているはずはない。
「何でそんなにお金を持ってんの?」
「知らないんですか?特典ですよ」
「特典?」
「ええ。ホープ社から発売されてる『魔法戦姫』シリーズ関連の商品を合計一万円以上買うと、特典としてピュアミー内で特殊な魔法と100万円が使えるようになるシリアルコードが貰えるんですよ!」
………商魂たくましいなホープ社!
あれ?これ私達だいぶ営業妨害してね?
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