第9話 タクティクストラテジー
前回のあらすじ:ちゃんとコミュニケーションは取ろうという話
リヴァイアちゃんと合流し、陵辱部隊と戦うための作戦会議をすることに。
「リヴァイアちゃんもスマホのことは知らなかったのか?」
「何かイベントがあるんじゃないかと色々試してはいたんだけどね。どうやら初手でバッドコミュニケーションをやらかしていたらしい」
やっぱりリヴァイアちゃんもか…喋り方とか柔和な声色で勘違いしがちだけどこの人もアレな性格してるからな。
「ちなみにバッドコミュニケーションって何やったの?」
「バイブ機能が鬱陶しくてね…尻に突っ込んで挟んだら、うんともすんとも言わなくなってしまったんだ」
うーん、一番のアホはコイツだったか。
「おらっ、しょうもない話してないでとっとと作戦会議を始めんぞ」
パンッと手を叩き、フェルミンが会議の音頭を取る。
この会議の要点は、陵辱部隊の会長、DDR、みっちゃんの三人が使っていた黄金の武器をどう対処するかだ。
「えー、作戦の内容だが、カルナが凄い魔法撃てるらしいからそれで倒す。以上だ。」
…作戦とは?
「冗談だ。と言っても足止めしつつ狭い場所に誘い込んでカルナがブッパするってぐらいしかやれることが無え。ところで肝心のその敵を引退に追い込む魔法、引退魔法の性能とやらはどうなってんだ?」
カルナ曰く、引退魔法は極太のビーム状のもので速度もそれなりらしい。特にクセもないので命中率は高いけど、カルナ自身のプレイスキルがあまり高くないため揺動足止めをしっかりお願いしますとのこと。肝心の魔法の効果については頑なに教えてもらえずにいる。一つだけ説明されたのが、掠っただけでも効果はあるが胴体や頭に命中させたいということ。
どういう魔法なのか、気になるんだが。
「効果が効果なので教えたら私が狙われることになりかねないですからね。そうなると引退するのは彼らじゃなくて私になっちゃいますよ」
凄い気になるんだが。
「でもそれならなんで私達に協力するんだ?結局その引退魔法を晒すことになるけど…」
「どっちにしろあなた達が来なければ引退するつもりでしたからね。おかげでようやくこの魔法をぶちかますことができます」
フッフッと笑みがこぼれるカルナ。彼の本性がほんの少し見えたような気がする。
「そんなことより作戦の方は大丈夫なんですか?なんか私に全てを懸けてますけど、この魔法まだ人に向けて撃ったこと無いんで正直どういう結果になるか知りませんよ」
「えっ、そーなの?」
カルナの魔法が効くかどうか定かじゃないなら、この作戦会議すべてが茶番にならないか?今更そんなこと言われてもどうしようもないぞ…
作戦を練り直したほうがいいのではフェルミンの方に目をやる。
フェルミンは私の視線に気づいた様子で、カルナの問に対して答えた。
「やるだけやってみたらいいんじゃね?正直これ暇潰しみたいなもんだし失敗しても問題ねえよ」
「え?私の復讐手伝うのって暇潰しのためだったの?」
え、普通にショックなんだが?さっきまで皆の優しさを全身で感じていた分悲しいよ。リヴァイアちゃんはどう思っているのだろうか、良識のある人だし私に対して善意で手伝ってくれているのでは………ああ駄目だ。薄ら笑い浮かべてやがった。
「わかったよ!暇潰しで構わないけどちゃんと真面目にやってくれよ。んで、狭い場所に誘い込むって言ってたけどどこに誘い込むんだ?」
「
おっ、割とまともな作戦だぞ。私の負担が大きい気がするし袋小路で安全の確保ってどうんやんだっていう不満はあるが、そもそも私のための復讐なのでその辺は甘んじて受けよう。
「私はいいと思うよ」
「よし、あとは
そういやそれを考えてなかったわ。あの三人に他の仲間がいたら負確だし、逆に二人に減っていたら戦いを拒否してくるだろうし、丁度三人のときを見計らなければいけないのか。これ下手したら決行は後日とかになるかもしれんぞ。
「それなら今は3人揃ってるはずだよ。丁度さっきまでその三人と談笑してたんだ」
「リヴァイアちゃんナイス情報!………談笑してたの?あいつらと?」
「装備集め中にばったり出くわしてね」
よくあんな奴らと喋ろうと思ったな。
「ちなみにどんな会話を?」
「『発売日と比べてだいぶ過疎ってきましたね、どうにか盛り上がって欲しいんですが…』『まあ大人が楽しめるゲームってわけではないですし、仕方ないですよね…』って感じだったかな」
なにそのロリコン特有の二面性。これは見習うべきなのか…?
まあいいや、3人揃ってるなら都合がいい。早速カチコミにいこうじゃないか。
「フェルミン、リヴァイアちゃん、カルナ!準備はできてる?さあ、戦争だ!」
三人がコクリと頷いてくれる。正直準備らしい準備なんて何一つできてないけどそんなことはこの際どうでもいい!この復讐の激動が枯れぬ内にとっととかたをつけよう。
「カルナ、引退魔法を撃つタイミングはこっちから指示する。光る魔法を私が撃つからそれが合図ってことで。じゃあ、期待してるよ」
「はい、期待していてください。私も期待してますよ、この魔法の性能を」
私達三人は勢いよく保健室を飛び出した。
敵の元へ向かう道中、宣戦布告役としてフェルミンだけ先に行ったのでリヴァイアちゃんと二人きりの状況だ。敵の居場所は二階の会議室、そして私達が今待機してるのが二階の階段口だ。
一応リヴァイアちゃんにも聞いてみよう。
「なあ、カルナの魔法ってどんな効果だと思う?」
「バレたら狙われるって言うくらいだからねぇ。当たったらキャラロスト、セーブデータ最初からなんてのもあり得るんじゃないかな」
「流石に強すぎないかそれは。いや、でもあそこまでひた隠しにする理由としたら納得がいくか…」
もし本当にキャラロストだとしたら私も当たってしまわないように気をつけないとな。
「あっ、そうだナナオ君。これあげるよ」
そう言ってリヴァイアちゃんが何かを投げ寄越してきた。これは…指輪?
「それは麻痺抵抗の効果がある指輪だよ。会長と戦うことになるかもしれないし持ってて損は無いはずだ」
おお…!凄くありがたい…!
「サンキューな」
「どういたしまして……さあお喋りの時間はおしまいだ、奴さんが来たよ」
前を見るとフェルミンがこちらに向かって全力で走ってきている。そしてその後を同じく全力で追う陵辱部隊の三人。よし、予定通りだ。
リヴァイアちゃんが飛び出し陵辱部隊を迎え撃ち、それに合わせてフェルミンも一瞬で反転して三人に殴りかかった。フェルミンの攻撃はDDRが、リヴァイアちゃんの攻撃はみっちゃんが受け止め、奇しくも前回の戦闘と同じ相手を足止めすることに。
と、いうことは…
「会えて嬉しいよ、会長!」
「ハハハ!また陵辱されに来たか!」
真っ直ぐ突っ込んできた会長の顔面にステッキをフルスイング!が、双剣でいなされてしまう。まあいい、所定の場所へ誘導開始だ。
「誘い込んでいるつもりか?十中八九罠だろうが…まあいい、お前の策に乗ってやろう」
罠ってバレバレじゃん!でも着いてきてくれるなら大歓迎だ。
会長に攻撃を加えつつ、会長からの攻撃を受けながら保健室を目指す。会長の剣捌きになんとか耐えられている、が、悔しいけど恐らく手を抜かれてるんだろうな。そうじゃなきゃもう勝負はついているはずだ。
そう考えると今生きてるのは割と奇跡だな。だからといって、負けるわけにはいかない。
「もう二度と陵辱されるのはゴメンだからな!」
「あれ?もしかしてまた陵辱するっての本気にしてるの?」
会長からの以外な回答。いや本気にするも何も一回あなたにやられてるんだが。
「俺は性の経験が無い身体にしか興奮しないんだ。目的はあくまで女児のその処女性。よって一度陵辱した今の君に襲う価値はないよ」
「ええ…処女厨かよ…。ロリコンの上に処女厨とか救いようねえな!」
「ロリコンは皆処女厨だよ。寧ろ処女じゃないロリとか悲劇の性犯罪被害者以外の何者でもないだろ」
「そうか」
…………………………………………………あれ?今私論破された?
くそっ、私の完敗だ。あとは託したぞ、カルナ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます