第14話
帰ってアマリ先生に報告をする。闇の祭壇がある洞窟についてとレイを狙っていたてあろうフォ・アキサメに似た魔族がいた事。
口外無用の指示を受けてレイもあたしも頷く。
アマリ先生は他の先生と共に確認に向かった。きっとアマリ先生が上手く処理してくれるだろう。
でも、先生方に全てを任せてしまうには起きた事があまりにも重大事な気がしたのでお父様やレイの父親には概要だけでも伝えて置くほうが良いだろうとテントの中で手紙を書いた。
手紙に飛翔の魔法を掛けて飛ばす。途中で魔物や突風などで散逸する可能性もあったが仕方無い。冒険者を使った郵便の方が確実だが野外演習中だから依頼出来ないのだ。
夕食を簡単に済ませて早々にテントに潜り込んだ。昨日の今日だからあのフォ•アキサメという先輩に似た魔族もやって来ないだろうと思う。テントに入る前に確認したがアマリ先生達はまだ帰って来ていないようだった。
そんなに遠くないのに遅いと思う。
翌日になるとアマリ先生達は戻って来ていた。朝食を簡単に済ませると馬車に皆が乗って学園に替える事になった。野外演習の結果などの発表は後日になると教えられた。
それから数日経って平穏な日々が戻って来た。
学園には日々通い、レイととりとめのない会話をして過ごす。数日は野外演習の出来事などの話もしたが推測を幾つ立てても結論は見いだせない。むしろ分らない事だらけだ。
知らないことを放って置くのには無理があった。モヤモヤか消えないからだ。レイと相談してフォ•アキサメ様の事や囲んていた上級生の事情を調べて見ようと決めた。
ナメア・ラザイア
スルト・ナナイカ
ヤメタ・モチート
リボンの色は2つ年上の翠の上級生
フォ•アキサメ
レイによるとフォ•アキサメ様とは学園に来る前にお世話になり話をしたことがあると言う。前に聞いたときは「アキサメ黒爵家。同じ黒爵家としてお付き合いがある。2つ年は上。とても気さくでお優しく大人しい性格。」と話していたが遠目から見た感じではそんなふうには見えなかった。レイに聞けば学園では話も出来ず、疎遠になりつつあると言う。
闇の祭壇で角を生やしてこちらを睨んだ顔はとても歪んでいて優しくは見えなかったし別人ではと自分を疑いたくなるような様相だった。
上級生のクラスに行くとナメア様、スルト様、ヤメタ様が仲良く座って話をしていたから同じクラスなのだろう。
明るい赤髪でツインロールのナメア様、黒みが強い銀髪のショートカットのスルト様、栗毛色でポニーテールのヤメタ様が何やら話し込んでいる。時折ナメア様が笑い声を上げる。
フォ•アキサメ様は居ないようだった。
あたしは上級生のクラスだが遠慮なくレイを連れて近づいた。
「ごきげんよう、みなさま。」
あたしの声にスルト様とヤメタ様が驚いて顔を上げる。ナメア様はあたしが近づいた事を先に気がついていた。
三人が立ち上がってこちらを向き挨拶をする。
「ごきげんよう、ソンナンカ様、レイチェル様」
それぞれずれてはいるが同じセリフだ。
「一体どうされましたの、ソンナンカ様」
ナメア様が代表して聞いてくる。
「実は先日の出来事について少々お伺いしたいことがありまして。レイに尋ねましたが良く分からなくて」
とあたしが言うとナメア様が眉を顰める。
「何の事か分かりかねますがここで話して大丈夫ですの?」と反問された。
少しは聞きたい事を理解しているようだ。
「そんな大した事ではありませんのよ。フォ•アキサメ様の事ですから」
というとスルト様とヤメタ様が口に手を当ててまぁと呟いた。
「あの時フォ様と何をされていたのか教えて頂きたいの」
と言うとナメア様が諦めた様な顔をして言った。
「別に隠すような事では無かったのですけれど、あの場ではつい誤魔化してしまいましたわ。
フォ様の最近の行いがちょっと目に余るのでご忠告申し上げていたのですわ。フォ様の名誉を守る為にあんな場所を選んでしまったのでソンナンカ様に誤解させてしまったのようですわね。」
それからナメア様達からフォ様の最近の言動を聞いたのだった。
以前はちゃんと受け答え出来ていたのに何を言っても返事が無かったり、態度が粗暴になったり、些細なことに感情を高ぶらせて叫んだり、令嬢としてのマナーがなっていないらしい。
話をしていても返事が無かった為に手が出てしまった所をレイチェルが見咎めて庇う素振りをしたので、あたしと仲が良いことに付け上がっているのでは無いかと口が滑ったらしい。
まぁ、レイの事は良いか。
可怪しくなったのはここ1、2ヶ月の事らしい。
急にフォ様が姿を消したことはあたしと話をしている内に逃げたと思っているようだった。
ダダノ·セイエンの事も聞いてみたが3人とも知らなかったようだ。逆に恋バナの様に質問されてしまった。
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