【僕まだロボット】かっこいいVS強い

亜未田久志

丸型VS人型


 球形の重火器のハリネズミ。いわゆるデススターみたいなのが最高のロボットだという学派と人型こそ至高という学派に分かれ戦争を起こしていた。

 その結果、宇宙領は球形軍に地球領は人型軍に支配された。


「~♪」


 鼻歌を歌う少女、宇宙遊泳の最中。敵機に見つかる。急旋回。人型をこれでもかと駆使してアクロバットな動きを見せる。各所に備えられたバーニアを噴く。動きを整え敵を見やる少女、ドッグタグには「リサ」の文字。


「球形軍の遊撃部隊……うちの電子予測班の予想は当たり、私の賭けはまた負け……」


 これで賭けには五連敗中のリサ。しかし、それは四回戦場から生き残っている事を示す。


「次の賭けは勝つ」


 目の前の戦闘より、未来の賭けである。光子ナイフを引き抜く。死角のないはずの球形ロボットに強襲をしかける。人型を活かした宇宙遊泳、イルカのような泳ぎで一気に近づく。斬り裂く、一騎撃破、しかし残り三機に気づかれる。


「普通は五機編成よね、という事は指揮官機がいる。悪玉が」


 他四機からの銃撃を無視してブースターを精一杯ふかせる。球形は重火器を乗せる事に特化してしまったために機動力に難があった。

 それを解決して(?)反抗したのが人型群。

 最強の人型兵器「ニケ」。背中の翼型巨大ブースターと関節各所に備えられた小型ブースターで加速力を上げて、ヒット&アウェイ戦法を主とした強襲用機体となっている。


「見つけた! やっぱり小惑星の裏!」


 黒い球形の指揮官機を捉えるとターゲットをロックする。バイザーに表示された情報から弾道を修正。発射する。電磁砲。いわゆるレールガン。そしてその弾頭は――

 

 ――世界が眩んだ。


「核弾頭はやっぱり気持ちいいなぁ」


 敵一機墜とすのに使う装備ではないが、リサはニュートロンジャンキーだった。


「さて指揮系統がやられたら退散するでしょ」


 こうして帰路へつくリサ。

 次の賭けが彼女を待っている。

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