第4話 魂交換の手引き ♪

「さて、仕切りなおして。」


かわいらしく、声が言う。


「あなたたちはそれぞれ、違う世界の住民なの。」

「・・・ふーん」


・・・とりあえず、聞いておこう。


「で、そこのデンビ。メンダコみたいなソイツが、私のことを侮辱したわけ。」


「・・・で、それと俺になんの関係が。」


「ないわよ」


キッパリ。


なんだよ、それ。理不尽すぎるじゃないか。


「ただ、あんたはおもしろそうだと思ったから、選んだ。」

「理不尽だろ・・・」


「——それじゃあ、これからあんたたちの魂交換をします。」

「なんでだよ?」

今度はメンダコモドキが言った。


「・・・仕方ないわね、説明してあげる。あのね、私はそれぞれの世界から、面白そうな文化とかを交換したり、時々しているの。だから、今回はあなたたちを交換するの。中身だけ。」


「「はぁ?」」


急に世界とか、言葉のスケールがデカすぎるんだよ。

しかもこのメンダコモドキは妖精を知ってるそうだが、俺は存在さえ知らなかったんだからな。

すると妖精(?)の声は、

「うーん・・・あっ!ほら、ロミオとジュリエットってあるでしょ?あれね、人間の世界の話なの。」と例えを口にする。


「えっ、そうなの⁉」とメンダコモドキが驚いた様子になる。


「え、お前知ってんの?」

「もちろん。君の世界から来たってことは、君も知っているんだよね。」

「ああ。“ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?”って。」あれは名台詞ゼリフだ。

俺が言ったのに対して、メンダコモドキは続ける。

「“それはね、僕の両親がその名をつけたからさ。父によれば、僕の名前は父の・・・”」

「——ちょっとまてまてまて⁉」


突然止められたメンダコモドキは不思議そうな顔をするが・・・

「いやそれはおかしいだろう確実に。」

「へ?なんで?」

「なんでって・・・違うだろ、それは。」


「あー、じゃあデンビたちの世界と人間の世界はそれぞれで、なんかかわっちゃったのよ。しょっちゅうあるのよ、そういうこと。改造されて、それぞれの世界に馴染むの。」


う~む。難しい。それでは俺の世界にも、こいつの世界からのものとかがあるってことか?

「ちょっとまて、それじゃあ・・・」

「——はい、無駄話はおしまいにして、レッツスタート~!」


あっ、ちょっ・・・



抗議しようとしたとたん、妖精とやらが何かを言った。


それでたちまち俺たち二人(?)は、もやもやとした光に包まれてしまったというわけ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る