第2話 俺、テンサイ・ショーネン。

部屋には沢山の本が、積み上げられてゴチャゴチャと置いてあった。

本の間に時折挟まれているノートには、ありとあらゆる空白に数式と記号、アルファベットの羅列が書き込まれ、その一つ一つのページの縁には、指についたボールペンのインクがそのままかわいた指紋が残っていた。



そう。俺は何を隠そう、天才少年なのである。



両親からの余計な英才教育のおかげで母国語は4つ。

テストは満点が当たり前で、塾には通わず自分で参考書を買って勉強している。

数学検定、漢字検定、英語検定、簿記、ハム信号。並の資格はもっている。(ちなみに級は一番上)

成績はほとんど5。

毎年、なりたくもない学級委員に推薦されておしつけられ、身だしなみや言葉づかいが丁寧なおかげで教師たちからの期待も重い。


見た目?

モサモサした髪の毛に、地味なメガネ。「普通の勉強野郎」っていうのが一番近いのかなあ・・・。

チョコレートなんて、もらったことがない。


通知表に書かれているのは、毎年ありきたりな誉め言葉ばかり。

つまらなくて、わざと授業で態度を崩したり、制服を着崩したりこともあった。


だが何故か、自分には真面目に勉強する――というか、もうすでに高校の範囲は終了しているので今は出席確認とテストのためだけに行っている――ほうが性に合っているらしい。

数式を解いたり、まだ解決されていない歴史について考えているっほうがよっぽど、楽しかった。


今は、高校2年の夏。

部活に所属していない俺は、休日の午後を、午前にフル回転させていた脳を休めるための睡眠に費やしていた。


本当はパソコン部に入りたかったが、母がデジタルのものを極端に嫌うので固く禁止されてしまった。

おかげさまで、俺は今でもスマホの通信手段以外使えず、計算も全てアナログである。


そしてまた、今日も本の上に突っ伏して夕飯まで寝る。

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