俺、人間。

第1話 めんどくせー。


ジジジジ、と蝉が死ぬ。


もう夏も終わりだ。だが、まだ暑い。


そろそろ、夕日も沈み始めた。


縁側で寝ころがっていた俺に、母は踏みつぶすとかなんとか脅してきたが結局は優しい人だ、そんなことはないと知って――


「——ぐへぇッ・・・」


「へん、そんなとこで寝そべってっからだよ。はやく洗濯物をおしまい。」


「・・・わーったよ。」


この母親、息子を踏みやがったな・・・。




「Tシャツにシャツ、靴下・・・っと。これで終わり。」


俺が洗濯物をカゴに入れて家の中に入れると、待っていましたとばかりに雨が降り始めた。

最初はポツ、ポツと気の抜けた雨だったが、すぐに強くなり、今では土砂降りである。


「ああ、もう。こんな天気のときって、あんまり良いこと起こらないんだよ。」


母は台所で、夕飯の準備をしている。


俺はつまらない話に付き合う気もなくて、自分の部屋へ避難した。



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