第6話 提出、そして謎。
翌日。
「ふぉっ、ふぉっ。ではレポートを集めるぞい。」
学校でのレポート提出。
僕は一番のりで出した!
「ふぅむ・・・皆、面倒くさいだけの妖精学を、よくここまで勉強してくれた。」
先生はそう言って、みんなの出したレポートを読みはじめた。
っていうか、サラっとディスった?先生、妖精のこと。
「ディオルカくんのレポート。
“今からずっと昔のカナリには・・・”、」
「ダルくんのレポート。おお、図がのっていてわかりやすいのう。
どれ。“妖精とは、そもそも何なのか。カナリとサナリの・・・”、」
みんな、結構マトモなこと書いてる・・・!
ヤバ・・・、後ろから読まれているから、僕のは一番最後に読まれるはずなんだけど。
それにしても、みんなほど詳しく調べてない・・・っ!
ドキドキしながら、自分の順番を待つ。
「う~む。皆、よく書けておったぞい。それでは次は、このカナリの国について。回収日は3日後じゃ。
解散っ!」
・・・え?
みんな、我先にと教室を出ていくけれど・・・、
僕のは?
「先生・・・僕のレポートは?」
「うむ?君の?レオルくんのレポートは・・・たしか、なかったと思うのじゃが。」
二人しかいない教室で、僕は驚いた。
「えっ⁉そんなはずは・・・、僕、一番最初にだしましたよね?」
「・・・すまん。その時は・・・その・・・、他のことを考えていてだな、あまり、よく・・・見ていなかったのじゃ。すまん、レオルくん・・・。」
「やっぱり、妖精学が好きじゃないからですか、先生。」
「そうじゃ。嫌いじゃ。」
・・・否定しないのね?
職業柄、とか、言わない主義なのね?
そして嫌いとか即言い切っちゃうのね?
うん。こういう“スッキリした人”、好きだよ。
でも、レポートの問題は残る。
みんな、難しい勉強は嫌いだから、誰かが僕のを盗んだとも考えにくいし・・・。
「そうですか。それじゃあ、また3日後。」
「おう。きちんと出すんじゃぞ!」
・・・それ、冤罪って言うんですよ。
・・・濡れ衣ともいうんですよ。
・・・僕、ちゃんと出しましたよ。
うーん。
謎だ。
この日は、考えながら家に帰った。
だけど、この出来事が、これからのことに大きく関わりをもっていたことを、僕は知らなかった。
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