第2話 アルト銀河


しばらくパラパラと中身を見ていたが、ちっともわからん。


「あー・・・もういいや。」


こういうときは・・・最初っから読む!


宿題をきちんとやって先生に褒められたいならば、これは鉄則だ。

近くにあった椅子・・座り・・、一度本を閉じる。


本の名前は「妖精学-世界のことわり、アルト銀河の発足ほっそく-」


そして皮肉にも、「超簡単!これが理解できなかったらデンビじゃない!」とも。

あ、ちなみにデンビっていうのは僕たちのこと。

人間の言葉でいう、人間みたいな。


そうだなあ。スライムに、丸っこくて短い手脚が8本ついた感じ?

口がないから、頭の上の2個のでっぱりをぶつけて会話するんだ。


もちろん、今は翻訳されているハズだからわかるでしょ?



1ページめくると、綺麗な絵が描いてあった。

(補足:このデンビたちが住むのは、「地球平面説」のような星。

 ここで言う“星”とはそれをさします。

 そして、このの体積の殆どをしめるのは、大きな山と真水の海なので

 す。)


が二つ、向かい合って存在し、その間にある石を中心として楕円だえんの線がかかれている。

あまりの美しさに見とれそうになったが、そこは宿題。

速攻、めくりましたとも。


パラリ、と軽い音がして。

3ページ目には、ギッシリと難しそうな文字と図が。


「はあぁ・・・。」


〈☆誇りアルト銀河

  アルト銀河の発足は、およそ2000年前にさかのぼる。まだただの石だったこの星“カナリ”にぶつかった隕石に住んでいた妖精が、おわびとして様々な生命いのちをさずけた。それが我々、デンビやその他生物、鉱物などのはじまりとされる。〉


・・・妖精、スゴくね?

普通、石にあたって謝るか?

それで命、さずけちゃうか?

というか、なんで妖精がいるのに隕石がぶつかる?軌道修正できねぇの?


・・・そもそも隕石に住む妖精って、何者どんなやつ



だがまだまだ、本の内容の1ページにも満ちていない。


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