第61話義父とDVやろう

【義父とお花畑なDVやろう】


あっと言う間に11月、裕子さんの誕生日、

「裕子さん、結婚して初めての誕生日ですね」

「あ~あ これでまた6歳離れちゃうんだ」

「何言ってるんですか、今更」

「でもね やっぱり気になるのよ」

「まだそういう事言うんだったらおしおきです」

「えっ」

そう言って後ろから抱きしめキスの嵐

悶えながら

「克己君、それってご褒美♡」

「じゃあ、ご褒美で♡」

そのまま……。

当日は仕事で遅いから、家飲みだけ、だからその次の公休日に2人でおでかけ、レストランでお食事をしてそのままホテルに宿泊

2人しっとり、次の日はつやつやお肌で帰りました。

12月に入って裕子さんがお義母さんに連絡し、いよいよお義父さんとご対面、

結局結婚してから12か月も経ってしまった

裕子さんも実家に帰るのは数年ぶりとか、2人緊張して家に入ると、リビングに父……だけじゃなかった。

「まったくお前は、兵頭(ひょうどう)君はお前が、桜本君と離婚したというのを聞いて、心配してわざわざ私の所にきたんだぞ。

兵頭君と離婚して、次の桜本君とも離婚した×2の傷物をこれだけ心配してくれるような優しい男の、いったいどこが気にくわないんだ。

 自分勝手な理由で離婚したなんて私にはまったく信じられないというのに、今度は年下のそれも初婚って言うじゃないか、我儘もいい加減にしろ!」

裕子さんはうつむいているけど、口をギュっと一文字にして悔しそうな顔でじーっと我慢しているのが分かる。

俺は爆発しそうになったけど、裕子さんがじーっと耐えているので、俺も我慢して裕子さんの手を握ると、裕子さんはちらっと俺の顔を見て刻々と頷いたので、俺も頷いて裕子さんと一緒に黙って、聞いていると

「裕子、今からでも遅くない、そいつと別れて兵頭君ともう1度やり直せ」

何?! 俺が切れそうになって反論しようとしたら裕子さんが

「お父さん、何バカな事言ってるんですか、私は彼を愛してるんです絶対別れません、それに何故兵頭さんと離婚したかわかってるんですか?」

「それはお前のわがままだろう、ちょっと殴られたくらいで大騒ぎして弁護士なんか雇って 」

「ちょっと? 医師の診断書を見ましたよね、あれがちょっとですか? 診断書を書いてもらった医師も、弁護士さんも、明らかにDVだと言ってくれたんですよ」

「裕子、あの時は悪かったよ、僕も色々あってね、いけないとわかっていたんだけど、思わず手が出てしまったんだ、もうあんな事は2度とないから、安心してほしい。

桜本さんと再婚したと聞いたときは本当にショックで、どうしても君に謝りたかったけど弁護士から会うのを禁止されていたからね、彼と離婚したと聞いた時はこれで、裕子に謝罪ができる、誤解が解ける、またやり直せると思ってね、急いでお義父さんに挨拶に来たんだ。

それから裕子のところに会いに行きたかったけど、今何をしているか、どこに住んでいるか、お義父さんも知らなくてね、心配で心配でいてもたってもられなくて、でもよかった、今日こうして会えて」

ニコニコしながら裕子さんの所まで歩いて、裕子さんに触ろうとしたので、俺は思わず立ち上がって、2人の間に割り込む

「裕子さんに触れないでください」

「あ~高谷君だっけ? 今まで裕子を守てくれてありがとう、でもこれからは僕が守るから」

そう言って、俺の横にずれてまた裕子さんに触れようとしたので、俺は裕子さんの方を向いて裕子さんを抱き上げた。

一瞬裕子さんがビクっとしたけど、すぐにわかってくれて体をずらしてあいつから遠ざかるように俺に抱き着くと

「私に触らないで!」

「裕子、何を言ってるのかな?」

「兵頭さん、裕子さんは僕の妻です、もうあなたとは何の関係もありません」

「君、それは戸籍上の話かな? それなら心配いらない、離婚すればいいだけの話なんだからね、僕は裕子が×2でも×3でも構わないよ、それくらい許す度量はあるつもりだから」

許す度量? なんだ?こいつ

「裕子、お義父さんもこう言ってるんだから、素直に僕の所に来るんだ、それにそもそも彼との結婚についてはお義父さんは認めてないんだろ?」

「どうして、私の結婚に父の許しは必要なんですか?私が彼を好きになって彼と結婚したいから一緒になったんです」

こいつら、おかしい、どうしようか・・・・・・・今まで黙っていたお義母さんが、

「あなた、それと兵頭さん、裕子はやっと生涯一緒にいられる人を見つけて自分の意志で結婚したんですよ、なぜ、それを邪魔するんですか」

「うるさい!お前は黙ってろ!」

「いいえ、黙りません!兵頭さんのDVはそれはひどかったんですよ、裕子がかわいそうでかわいそうで……

なんとか離婚できて一安心して、そのまま本人が結婚する気になるまで家にいればいいと思っていたのに、また勝手に縁談を進めて、全部あなたが悪いんですよ」

「お前、何言ってるんだ、こんな人当たりの良い人間がDVなんておかしいだろ、何が勝手に縁談を進めてだ、裕子の事を思ってやってやったのに、また勝手に離婚して、いかげんにしろ!」

「いいかげんにしてほしいのはこっちです、こんな仮面を被ったDV男を連れてきて、またよりを戻せですって?! いいかげん自分がどれだけおかしいか気づいてください! 裕子、こんな人達は放っておいて2人で幸せになるのよ」

「お母さん、ありがとう」

「克己君も裕子をよろしくね」

「はい」

一言いいたかったけど、お義母さんもそう言ってくれたので、これでいいかなって思っていたところにDV男が

「お義母さん、それはあんまりですよ、僕はちょっとやりすぎたかなって反省してますし、今でも裕子を愛してます。それに×2、×3くらいなんとも思っていないですから、だから……」

「あなたは、もういいの、さっさと消えて頂戴、それとも弁護士に連絡して、違反行為として処分してもらいたいの?」

「いえ、そんな事は……」

思いっきり罵倒してやろうと色々考えていたけど、お義母さんが決めてくれた、うん

「あなた、私も、もうあなたにはついて行けません、しばらく1人にさせてください」

えーっ? どうしよう、俺達の結婚が裕子さんの両親の破滅を……

「そうね、お母さんも、そうした方が良いかもしれないわね」

裕子さんがそれを言う?

「裕子さん」思わずそう言うと

俺の方を向いてにっこり、耳元で「大丈夫」

それから、裕子さんとお義母さんが2人で別の部屋に行ってしまい、俺達3人が残されて…….

DV男は自覚がないのか、俺に向かって

「君も諦めが悪いね、裕子は僕が面倒を見るから、さっさと帰った方が良いよ」

「そうだ、お前が帰れば全てうまく行くんだ!さっさと帰れ!」

お義母さんの啖呵を聞いて、俺は余計な事を言うのは良くないと思っているところに言いたい放題いいやがって……俺1人が悪者に……裕子さん……


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