第11話モヤモヤが

【モヤモヤが】

 7月も下旬、梅雨があけて外は蒸し暑いけど、財務は内勤だから空調のきいた部屋で仕事を・・・そんな時、裕子さんにいつものように内線がかかり、裕子さんはいつものように橘専務のところへ。


 30分ほどで戻ってきた、いつもより早い、 


 と思っていたら、裕子さんは、課長の所に行って・・・18時に帰ってしまった。


 20時・・・仕事はまだ残っているけど、今頃裕子さんと橘専務が・・・胸にモヤモヤが・・・いつもにもまして苦しくなって、思わす課長の所に行くと、課長が、ちょっと驚いた様子で、俺は、


「すみません、具合が悪いので、今日は帰ってもいいでしょうか」


「おお、顔色が悪いぞ、大丈夫か?」


「はい、帰って寝ていれば大丈夫だと思います」


「そうか、じゃあ気を付けて帰れよ」


 課長にそう言われ、俺は・・・気づけば裕子さんのマンションに向かっていた。


 部屋に押しかけたい・・・あの2人を引き離したい・・・歩きながらそんな事を考えながら、裕子さんのマンションの入口についた・・・けど、インターホンの前にいるけど……


 部屋番号を押す……事ができず……何人かマンションの住民が出入りしていく度、通りすがりの一般人の振りをして入口から遠ざかる……


 同じ事を何度か繰り返していると、入り口のガラスドアの向こうにあるエレベーターの扉ドアが開いた。


 裕子さんと橘専務がニコニコ話しながらエレベーターから降りてこちらに向かって歩いてきたので、あわてて物陰に隠れて2人の様子を見ていた。


 裕子さんはTシャツにショートパンツ姿。


 やっぱり・・・・・・


 裕子さんは、髪が乱れて、いかにも運動した後のようなひと汗かいた雰囲気で、疲れ切った、けど気持ち良かったような雰囲気・・・遅かった・・・モヤモヤが・・胸が苦しい。


 2人は手をつなぐわけでもなく、抱き合うわけでもないけど、顔を向き合って、ニッコリして話しをしながら・・・手を振って分かれていった。


 隠れて見ていたのに、気が付いたらいつのまにか物陰から出て、橘専務の背中を追うようにじーっと見ていた。


 ・・・振り返った裕子さんに見つかってしまった。


「・・・・・・」


「高谷君?」ヤバイ


「あっ・・・どうも」


「どうしたの?怖い顔して」


「いや、ちょっと・・・」


「そう?外は暑いから部屋に入る?」


「・・・」


「ねえ、どうしたの?」


「いえ」


「暑いでしょ、汗がいっぱい出てるよ、とりあえず入って」


「はい」


 苦しい、今まで2人は裕子さんの部屋で・・・考えると胸がどんどん苦しくなる、でも確かめたい気持ちも・・・


 裕子さんの後ろについて、部屋に入る・・・・


 思わずベッドを見てしまう・・・乱れてはないけど・・・、使った形跡・・・軽くベッドメイクをしたような感じ


 さっきまであのベッドで・・・・・そんな事を思っていたらどんどん胸が苦しくなって・・・そんな時、


「まあ、とりあえずここに座って、麦茶でも・・・ビールにする?」


 ソファーが新しくなっていた。


「気が付いた? 前のソファーって寝るにはちょっと小さかったでしょ、だからこれに買い替えたの、

 ほらこうすればベッドみたいになるでしょ?!」


 そう言って色々操作してフラットにして見せて


「これなら高谷君もゆっくり寝られるよね」


「・・・はい」


 俺はなにも言えず黙っていると


「どうしたの?さっきからなんか変ね」


 胸のモヤモヤがどんどんひどくなっていく・・・

 知りたい・・・思わず・・・聞いてしまった。


「あの、さっきまで橘専務と一緒だったんですよね」


「ああ、そういうこと・・・」


 すごい気まずい雰囲気に・・・


「あの、橘専務の事どう思ってるんですか?」


 そんな付き合いはやめろ、って言いたかったけど、言えなくて、唐突にこんな事を聞いてしまった


「うん、私にとってはとても大切な人」


「そうですか・・・」


 大切な人か・・・・・そんなに好きなのか?父親くらいの歳で奥さんもいるだろうに……そんな奴が裕子さんを……

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