第5話そっか、俺から別れたようなものなんだ

【そっか、振られたんじゃないんだ、俺から別れたようなものなんだ】


 そんな事だから気分はあまり良くないまま仕事が終わりいつものように夜になっていた。


結構な時間だから、このまま帰ろうかな、と思っているところに

裕子さんが声をかけてくれた


「高谷君、調子悪そうね」


年末に相談に乗ってもらってから、話すようになった程度だけど、俺の事を見て気にしてくれたんだ。


「はい・・・」


「明日も仕事だけど、ちょっと寄ってく?」


「俺はうれしいんですけど、いいんですか?」


「良いわよ」


「ありがとうございます、それじゃあお言葉に甘えて、そうさせてください」

「いいの、いいの」


2人でちょっとしゃれた個室タイプの居酒屋で飲みながら、俺は、休みの日に彩が来て、どんな事を話したか、そして最後に別れた事、昔の思い出話をすると


「そう、それは悲しいわね、・・・彼女、浮気してないかもしれないわね、普通の会社だと、彼氏彼女がいない仲のよい社員が集まってホテルの1室でホームパーティとかするのよね……

でも高谷君の思ってる通りかもね、今のままだったら、彼女とやり直してもきっとまた同じ思いをして結局別れるんじゃないかしら、そうなったらもっとつらいわよ。

今はお互い、つらいけれど、何年後かは良い思い出になるんじゃない?そう思って、ねっ?」


そっか、俺フラれたんじゃなくてフッタようなものなのかもしれない……

…6:4違う、100%俺が悪いんだ……ごめんな。


裕子さんに話しながら俺の頭を抱えてなでなで(ぐしゃぐしゃ)してくれて、なんで?頭なんか撫でるんだ?


……知らないうちに・・・涙が出ていた・・・


・・・俺自身かなり無理していたんだ・・・それが・・・。


気が付くともうとっくに終電の時間も過ぎて


「もう終電もないから、うちに泊まる? ソファーでいいなら泊めてあげる」


と言ってくれて、


「いや・・・でも女性の1人暮らしの部屋に俺なんか・・・」


「何何? 私を襲っちゃう? 高谷君ってそんな事考えてるの?」


「いえ、そんな事ないです」


「じゃあ、いいんじゃない?泊れば?」


「ありがとうございます」


その時はただありがたいという気持ちで裕子さんのマンションに泊めてもらった。


次の日の朝、なんかすっきりした気分で、


「柴田さん、おはようございます」


「おはよう、昨日よりはすっきりしたみたいね」


「はい、柴田さんのおかげです」


「そうね、伊達に×2、経験してないから」


「・・・はあ・・・」ハハハ


・・・またいつもと変わらない日常。


そんな事があった。


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