第6話ㅤ第3の世界をゆく

ㅤ「しわす!……こっ……ち!」


ㅤ途中にあった見渡す限りのお花畑だとか、回ってる風車、動物と戯れることの出来そうな牧場をじっくり見たかった。

ㅤだが、エスプルが腕をひっぱって、オルパス……?とかいう所に行くものだから、全スルー。まぁ、今度見れるか……。


ㅤ「ついた……!」


ㅤ周囲は草原。目の前には、村の木材を基調とした建築からはかけ離れた、ノスタルジックの欠けらも無いどこかアーケードゲーム機に似たような機械が2つあった。


ㅤ「しわす!これ……やる!」


ㅤ「やる……?どうやるの?」


ㅤ見たところ、腰丈くらいのところにタブレット端末より少し大きいくらいのディスプレイが地面とほぼ平行にあり、その横に何かの差し込み口がある。頭の所には床と垂直になったテレビサイズのディスプレイが存在する。


ㅤ「ここ……さっきの……さす」


ㅤ差し込み口にナイトノートを挿入する。これから何が起こるのかわからないが、なるほど、ナイトノートはこういうことにも使えるのか。


ㅤ「オルパスシステム、スタートアップ」


ㅤディスプレイが起動した。あまりにこの村とミスマッチな機械が動き出した。


ㅤ――――――WELCOMEㅤtoㅤRuralsounZ


ㅤ本当にゲームみたいだ……

ㅤそれに……このタイトルはおそらく。


ㅤ――――――音ゲーだ。



ㅤナイトノートの情報を読み取ったのか、日本語表記になっているが、画面には、灰色の文字でバトルモード、黒の文字でスキルモードとある。

ㅤ音ゲーのシングルプレイ、マルチプレイのようなものだろう。オルパスとやらが2つあるのも納得できる。バトルモードは選べないので、スキルモードを選ぶ。


ㅤ――――――selectㅤtheㅤmusic


ㅤ慣れた手つきで曲をどれにしようか、プレ演奏を聞いていく。曲も異世界らしさがあるのかと感じたが、そんなこともないようだ。


ㅤ「エスプルはどれが好き?」


ㅤ「これ……!いい!」


ㅤ初めてなので、あまりプレイできる曲が多くない。これから解放されるタイプの音ゲータイトルなのだろう。10曲くらいの中からエスプルに選んでもらった。



ㅤ――――――Forest savers


ㅤEasy2ㅤ/Normal7ㅤ/Hard10



ㅤまだ、Easyしか出来ないようなので、とりあえずプレイしてみる。だいぶ、スタンダードな音ゲータイプである。というのも、判定ラインはまっすぐで、ノーツも判定ラインにまっすぐくるタイプだ。


ㅤ[Full Combo]


ㅤ異世界の音ゲーとは、一体どんなもんなんだと怖さもあったが、とりあえず難なくフルコンボを決めれたのはよかった。

ㅤ「しわす……!すご……い!!!」


ㅤすごいのか……??そもそも、僕は上手いタイプの人間ではなくエンジョイ勢なので、最高難度は全然出来ない音ゲープレイヤーだ。


ㅤ「しわす!これ……みる!」



ㅤくすぐったいような、でも喜ぶべきなのか、何とも言えない気分で、カードを抜いた。


ㅤ「え……、これって」


ㅤこれが師走の第1歩となる革新的な異世界生活になるのである。

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