【僕まだロボット】VSAI

亜未田久志

VSHUMAN


 第七世代核融合炉エンジンを搭載した最新鋭機。地上、海中、宇宙と幅広い活躍を見せる

 しかし現在――


「『敵』の数は!?」

「総勢十機! こっちの二倍!」

「一人二機でなんとかならぁ!」


 採掘用のドリルを構え、突っ込む五機の人型探査機。相対するは。


『ピロロロロロロロ』


 謎のジャミング電波を発する虫型兵器。腹部に重火器を揃え弾幕をはる。それをくぐり抜けた五機は虫に向かってドリルを突き立てる。


「突き抜けろやぁ!」


『ピギギギギギギギギギ――』


 一機撃破。しかし残りの四機は膠着状態だった。残された指揮官機は、一人命令を告げる。


「俺が巣を叩く」

「無茶です隊長!」

「突っ走りすぎだ!」

「知るかよ!」


 通信を切る。


 惑星AfOにて見つけた鉄製植物。そしてそれを喰らう、機械生命体。それに挑む事になった人型探査機。銃器も持たず、工具だけで。


「やってやる……!」


 そこにあったのは大きな鉄の塊だった。


「成分分析……レアメタル?」


 鉄塊が身じろぎする。


「こいつ、動くのかよ!?」


 武器は、ドリル一本。


『ピロロロロロロロロロロロロロ』


「独自の進化形態を歩んだ新生物かと思ったけど違う、鉄製植物由来の構成物質じゃなかった。こいつの正体は――」


 鉄塊から鎌が振り下ろされる。


「人工知能」


 そうなればこの戦闘は電脳戦だ。虫型兵器が発していたジャミング電波はファイアウォール代わりだったのだ。それさえ破れれば勝機はある。


「コンデンサの電力をオーバーロードさせて軽い電子パルスを引き起こす――持ってくれよ相棒!!」


 迸る電流。鉄塊の動きが止まる。


「これがどんな環境でも動けるマルチロール型の強みだ! こっちはまだピンピンしてるぜ!」


 鉄塊をよじ登り、その頭部に当たる部分にドリルを突き立てる。


「これで子機も止まるはず……生きてろよ、皆」


 五人は無事、合流し、地球に惑星AfOの情報を持ち帰るのだった。

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