第37話
山彰英が殺害され、事件は根底から覆された。男性化した女性が狙われていた訳ではなかった。
ただ、何故、その山彰英が殺害されたのが同一犯と分かったのかといえば、野村砂太郎、中嶌康嗣、呉東惇也と同じように、密室で殺害されていたからだ。
更級「そういや、そこも何で密室での殺害なのか、が不明だな」
明「確かに…」
更級「まあ、どれも、二階とか三階だから、外から侵入するのは正直容易いかもしれないが」
明「あー」
この日、依頼者がやってきた。赤坂樹と赤坂麻友斗の二人である。
互いに、後天性性逆症という性別が変わった二人だ。
樹「なんとなく、互いに自衛が困難な気がして」
更級「あぁ、確かに」華奢な体型の二人を見てそう思った。
田母神牡丹(たもがみぼたん)警視総監が記者会見を開いた。
牡丹「野村砂太郎、中嶌康嗣、呉東惇也、山彰英の共通する事項が分かりました、彼らは5年前の玉突き事故の加害者です」
と、当時のニュース画像を出した。
牡丹「名前も変わり、直ぐに調べきれなかったのは警察の怠慢とし、ここで謝罪いたします」
野村砂琴、中嶌康子(なかじまやすこ)、呉東惇美(ごとうあつみ)、となる訳だ。
牡丹「お心当たりのある方は直ぐに警察署に来てください」
明「マジか」
更級「とりあえず玉突き事故の詳細を調べよう」
いわゆる陽キャなメンツが乗っている三台の車が危険な運転を行い、事故が発生した。
三台の車のうち、死亡していないのが、今回殺害された人物達だった。
あと、柳岡達二(やなおかたつじ)、柊志津野(ひいらぎしずの)、鷹取祐介(たかとりゆうすけ)の三人が事故の生き残りだった。
明「あ」
更級「どうした?」
明「これ」
その三台の車が原因で玉突き事故が起きた際、別の車の人の一人が、元グラビアアイドル、シャリーキャワタン(25話参照)こと、酒見春香と両親が乗った車だった。
今、酒見春香は、酒見晴之(さけみはるゆき)と名前が変わっていた。
更級「こいつじゃね?」
明「で、ですよね?!」
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