第35話

野村砂太郎(のむらさたろう)、27歳、自営業の後天性性逆症による女性から男性に変わった人物。

そんな彼が遺体で発見されたのは、向ヶ渕基が逮捕されてから二十日後のことだった。

死因は刺殺で、自宅でナイフのようなものを刺され出血死であった。

それから三日後、元カレである紀平鮎夢(きひらあゆむ)が依頼しにきた。


鮎夢「第一発見者だったので、疑われたのが悔しくて」

明「なるほど」

更級「発見した際の貴方が覚えている範囲内のことを説明してください」

鮎夢「は、はい」


まあ、男性になった彼(野村)からは、「互いにドライやったし、互いに彼女見つけようや」と言われていた。

そんな彼が「助けてほしい」と電話、部屋には鍵がかかっており、大家の臼杵正信(うすきまさのぶ)に鍵を借り、部屋を開け、キッチンで遺体を発見したらしい。

鮎夢「覚えていることで奇妙なことがあります」

明「え?」

鮎夢「男性になった野村砂太郎の顔に化粧してあったんです」

更級「け、化粧ですか?」

鮎夢「はい、しかも、砂太郎が、まだ砂琴(さこ)という名前の女性だったときのメイクに見えました」


そうそれは、男性化した人ばかりを狙う連続殺人の始まりを告げたのだ。


五日後、呉東惇也(ごとうじゅんや)さんと、中嶌康嗣(なかじまやすつぐ)さんが、ホテルで殺害され、女性だった頃のメイクをされていた。

ニュースでは、男性化したキャスター、蝉川保夫(せみかわやすお)が、注意喚起を行っていた。

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