第33話

明「あれとかじゃないですよね?」と指を向けた。『むこうがぶちマジックショー』と書いてあった。

更級「一応見に行こう」

明「はい!」


アンパンマ○に出てくるジャムおじさ○みたいな見た目のおじさんと、アシスタントらしき女性。

明「これっぽい、っすね」

更級「だな」


向ヶ渕「レディ~~ス、アンド、ジェントルマ~~ン、今日も向ヶ渕基(むこうがぶちはじめ)のマジックショーを行うよ~~ん」

子供たちがニコニコしながら、マジックショーを見ていた。


十分後

明「なんかありました?」

更級「特にはなかったな」

明「ですよね」

更級「タバコ吸わせて」

明「はーい」


ただ、マジックをしているときの向ヶ渕の目付きは少し違和感があった。

対象を探してる、そんな印象を受けた。

もしかして、後天性性逆症擬きを起こすための人物探しか?

明「あ、所長」

更級「ん?」

明「第四の被害者が」

更級「何ッ?!」


小熊研悟(こぐまけんご)渋谷で彼女と待ち合わせしていたが、行方不明、今朝、女体化して高尾山にいた。前後の記憶は飛んでいた。

更級「昨日もう被害者がいたのか」

明「そうみたい、っすね」


調べてみたら、向ヶ渕基は、八王子の左入町に住んでいた。

明「光枝さんの言った通りの、八王子から豊田の間っすよ?!」

更級「だな、とりあえず、見張るか」

明「はい!」


月、水、木に渋谷に行き、アシスタントの船木稜子(ふなきりょうこ)と共に渋谷でマジックショーを行う、みたいな感じだと、思っていたら、木曜日に行動を起こした。


マジックショーの間に、女性が倒れたので、アシスタントの稜子さんが車で病院に向かう、はずだったが、その車、高尾山近くまで行った。

明「こ、ここって」

更級「あぁ…船木医院、船木稜子の親が院長だった病院で、10年前に廃墟になった、らしい」

明「確定っすね」

更級「とりあえず、警察を呼ぶか」

そう思った瞬間、ガスを吹き付けられた。罠だった。


明「しょ、所長!!」

揺さぶり起こされた場所は、廃墟の一室だった。

更級「こ、こは?」

向ヶ渕「知っているよね~~、船木医院、僕は、そこの医者だったんだぁ~~」

更級「なる、ほど、で、縛られてるのは」

向ヶ渕「そりゃ~~、君達は、後天性性逆症で女の子になったんだろ?それだとね、手術出来ないんだよ~~、生粋の性別じゃないとやっちゃヤバイんだよ~~」

更級「なるほどな」

明「も、目的は?!」

向ヶ渕「そりゃ、彼女の息子さんさぁ」

と、船木稜子の後ろには女性が居た。

向ヶ渕「船木正太郎くん、今は女の子だけど、さっきいったんだけど、生粋の性別じゃないとヤバイんだよ~~だけど、彼を直してあげたいんだ~~」

生気を失ったような彼は小さくうなずいた。


稜子「わたしの正太郎が可哀想だとはおもわない?」

更級「少しは分かりますよ」

稜子「でしょう!!だから、向ヶ渕さんに手伝ってもらってるのよ!!」

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