第29話
喜名「んで、なんか情報あるか?」
井桑「いいのが見つかりましたよ」
喜名「ほう、…聞かせてみろ」
井桑「はい」と言って写真を渡す井桑元安(いくわもとやす)。
喜名「こいつは、誰だ?」
井桑「後天性性逆症により、名前が変わって、北村俊乃という元男です」
喜名「あぁ、最近ニュースで観るあれか、んで、こいつは?」
井桑「一乗寺が女体化してからよく助けているらしいです」
喜名「あぁ、お節介好きか、なるほど、そいつを拐えば良いんだな?」
井桑「はい」
そんな話をされてるとは露知らず、わたしととし君は、二人でショッピングモールに出掛けていた。
彩夏「ちょっとお花摘みいってくる」
俊乃「あぁ、了解」
トイレから出ると、とし君の姿が見当たらなかった。
彩夏「とし君?」
阿岐斗「あれ、彩夏先輩じゃないですか?」
彩夏「と、とし君見た?」
阿岐斗「え?………ちょっと待っててくださいね」
彩夏「うん(泣)」
阿岐斗「先輩、電話大丈夫ですか?」
軌条「ん、なんだ?」
阿岐斗「北村先輩が、なんか彩夏先輩とデートしてたっぽいんですけど、いつの間にかいなくなってたらしいんですよ」
軌条「ちょっと待ってくれな、そこは、ショッピングモールか?」
阿岐斗「はい!」
軌条「さっき、東吾から、あきらかに買い物目当てじゃない井桑の後輩が右往左往してる、って、報告があったんだ」
阿岐斗「じゃ、じゃあ」
軌条「近くに廃工場がある、行ってくれ、あとで向かう」
阿岐斗「分かりました!!」
近くにある廃工場に入ると、そこには、涙目の北村先輩が服を脱がされていた。
俊乃「むむむぅ!!!」
喜名「おぉ、来たか、一乗寺ィ?」
阿岐斗「その人は関係ない、離せ!!」
喜名「関係なくなくないィ?」
井桑「そうそう、だいたい、欲求不満男子には最適じゃないか」
阿岐斗「な、なにを」
喜名「何をって、そりゃあ、フェラとか、セックスとかできりゃあいいなァ?」
阿岐斗「貴様ァァァ!!」
喜名「おっとォ?お前には二つの道があるぜェ?大人しく見守るか、お前にフェラとかセックスとかしてもらうか、その二つのどっちか選ぶんだなァ?」
阿岐斗「クッ……な、なら、してやる、だから、その人を離せ」
喜名「シャア、よし、離してや…あ?」ヒョイ
彩夏「とし君に何をしてるの?」
喜名「あ?」
彩夏「とし君に何をしてるの?」
喜名「いや、おろ、おろ」
彩夏「とし君に何をしてるの?」
喜名「いや、その」
彩夏「とし君に何をしてるの?」
喜名「ひぃぃぃい!?」
彩夏「とし君に何をしてるの?」
彩夏「ねぇ、聞いてる?とし君に何をしようとしたの?」
喜名「ひ、ひぃ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
そこらにあった鉄パイプを、喜名の右手に殴打した。
喜名「ぎゃあああああああ!!!」
彩夏「とし君に何をしたの?泣いてるよね、何をして泣かせたの?泣くようなことをさせたの?」
喜名「すいませんすいませんでしたぁ!!」逃亡した。
彩夏先輩怖っ?!と阿岐斗は思った。
ハスキーボイスでかつ高身長で、少し泣き虫なのは知っていたが、キレさせると、むちゃくちゃ怖いということを認識させられた。
彩夏「大丈夫?」
俊乃「な、なんとか」
彩夏「…」ギュー
俊乃「ごめんね」
彩夏「(泣)」
俊乃「あ、あと阿岐斗、ありがとう」
阿岐斗「い、いえ、大丈夫ですから」
俊乃「あそこまでキレたの久しぶりに見たな」
阿岐斗「前にも?」
俊乃「うん、中学で俺はいじめられててさ、そしたら、普段なら泣きまくる彩夏が無表情、怖かった」
阿岐斗「さっきも無表情でしたよね(汗)」
軌条「大丈夫か?」
阿岐斗「はい」
軌条「よかった、あと逃亡したのは捕まえたから」
阿岐斗「ありがとうございます」
喜名晴二と井桑元安、あと、豊川久司(とよかわひさし)と波田喬(なみだたかし)は、拉致監禁、強要で逮捕された。
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