第9話
5月9日(木)
開口一番、「何にでも受容期ってのは、あるが、流石進行速度が遅いのが原因なのか、はたまた、要因というべきか、分からない事象だな」と譜久村先生。
海外の心理学者が、後天性による性転換においての受容期とやらは他とは異なるという。
最大のターニングポイントとされるのが二つあり、男性から女性になった場合、尿道が小さくなったことによる、失禁。
そして、月経が、後天性性逆症に関わった人の人生観を変えるという。
「んで、受容期になると、そうやって男だったのに女だったのに、前の性別のやつに恋を抱くようになるんだ」と先生。
なるほど、と思いつつ、譜久村先生から、心療内科も紹介された。
「そういう時期に限って、なかなか複雑な心理になりがちなんだ、大抵病む、だから、俺が信頼する先生を紹介しとくよ」との事。
「ありがとうございます」
「あと気づいてるかは知らないが、前よりこっちをちゃんと向いてきちんと話をしようとしているのも受容期を迎えた証拠だ、もしかしたら、次のサイクルとされてるやつも直ぐに迎えそうだな」と譜久村先生。
「次の、サイクルですか?」
「ナースにも相談したりしたまえ」
ナースさん曰く、「性自認の時期は、相手方の性別が異性とかで、自認していく時期よ、キュンとしたんでしょ?」
「はい」
「まあたぶん、少ないうちに相手の身体を欲したりする時期が来るということよ、って、顔真っ赤よ」
「あ、あははは」
「だからといって、ガツガツしたら嫌われるから気をつけてよ」
「はい…」
5月10日(金)
今日、ゼミが午後だけだった。樹に、「デートするなら、ちゃんとした服を買え」と叱られた。
そして、麻友さんから、「もしかしたら」と相談を受けた。
5月11日(土)
こういうのは連鎖するのだろうか、麻友さんが、進行速度が遅い後天性性逆症と診断されたのだ。
急にヒゲが伸びるのが早くなったらしい。
「もしかしたら、樹の女体化が、なんかオスとしての本能を目覚めさせたとか、かしら?」
と麻友さん。
樹にいたっては、なんか前より猿みたいに性的になっていた。
麻友さん曰く、「先生がそれは、後天性性逆症の人あるあるだから、って、あと、かわいいからいいじゃん?」
惚気られた。
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