第7話

4月28日(月)

またゼミが午前中で終わり、暇をもてあまし、食堂にいたら話しかけられた。

正体不明さを漂わせる女性だった。

「あー…すまないな、わたしは、アンヌベリー・テリファーという」

なんか聞き覚えのある名前だ、樹から聞いた気がする。

「海外で初めて、後天性性逆症になった、元男だ」

あぁ、そうだ、なんかぐだぐだ、樹が説明してくれたような、されてないような。

「それで、君はどうやら女体化の進行が遅かったようだね」

「は、はい」

「なに、そんな大それたことをする訳ではないんだが、少しだけ検査をさせてほしい、女体化の進行速度を落とす方法だけでも知りたいんだ」

「一個人で勝手に決めていいかが分からないんで親と相談して決めてもいいですか?」

「あぁ、まぁ、それで構わないさ、ただ、進行速度が遅いのが逆にどう影響するかが…」

最後まで聞けていなかった、というか、途中から意識が遠ざかっていた。


気がつきゃ、学校の医務室にいた。

北条真弓という保健の先生が、「大丈夫?銀髪の人があわててここに連れてきたのよ」とあわてていた。

軽い貧血だろうか、まあただ、進行速度が遅いことが原因とか、いわないかが、心配になってきた。


4月29日(火)

病院に行き受診をした。

まず一言で、「入院するか、投薬治療が必要だな」と譜久村先生。

「そんな」と慌てたが、先生は、笑った。

いや、おい、笑うな。

「何、恐らくだが、性転換する際は理由は解明されてないが、鉄分が極端に無くなるんだ、だから、後天性性逆症の人がたまに貧血が多いから、鉄分が多めにある薬を処方してもらったり、点滴での治療のために、入院する、っていうのは、いつものことなんだ」

あれ、その説明先生から受けた記憶がないんですけどね?

「まあ、君みたいな、進行速度が遅いのだと、ほぼどうなるかは、我々も予測がつかない、女体化いうても、進行速度無茶苦茶遅い女体化という題材だから、まあ、一応血液検査をしよう」

そして、やはり、ごっそり鉄分が不足しているとの事で、鉄分の薬(?)を処方してもらった。


「あと、性的興奮は極力、抑えてね」と帰り際ナースに言われた。

それは無理です、ナースさん。

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