第2話

君の余命は一ヶ月と一週間になっていった。


「何処行こうか」といって連れ出されたのが

熱海だった、熱海なんて離婚や浮気の聖地だぞ

っていったら君は「おじさんくさい」と笑った。


「ちなみに今日は泊まりだからね」


「は?無理だよ。家族になんにも言ってないし」


「私はみずきに庇って貰っている、みずきわかるでしょ?」

「あの赤いリボンの子、あの子だけは全部知ってるから」


僕達はホテルの1室で夜を超えることになるみたいだ。

僕は自分に自信がなかったし、今でも付き合ってる感覚がないから

「泊まる」とか言われてもピンと来なかった。


ホテルに入ったらオーシャンビューのホテルで海が真下に見えた


彼女はいつもみたいにはしゃいでいた、お酒買って来ようと

二人でお酒を買いに行った。年齢は聞かれなかった。

普通に変えて二人で笑った。


海辺で飲むのもいいという話になったが

ホテルの椅子に座りながら飲むことにした。


急に彼女が「ベッドはこっからが私の陣地と」言い出して

範囲を見たら僕の陣地は一センチしかなかった。

寝れやしない。

「君に決定権をあげよう」というので4センチだけのばしたら

「そんなんでいいの?」とびっくりしていたね


僕は最悪ソファーで寝ればいいやと思っていたのであんまり

ベッドの陣地にこだわりがなかった。


親からは【帰り遅くない?】というLINEがきたので

唯一の友達の柏木の名前を使わさせてもらった、ごめん、柏木


「私がしんだら誰かと付き合うの二週間は待って」


「僕が誰かと付き合えると思ってるの??」


「頑張れば」


「頑張らなくていいよ、そんな事」

「僕は陰キャで教室で本を読んでた方が気が楽なの」


「本なんて楽しいかな??」

「私も一つだけ大事にしてる本がある」



「なに??」


「大きなのっぽの古時計」


「それ歌じゃなかった??」


「絵本であるんだよ」


知っていたけど知らないふりをした。

多分図書館にもあるはずだ


「君はそんなのも知らないのか」

とお酒が入って調子に乗ってくる


「はい、知りませんでした」


「素直でよろしい」と頭をポンポンしてきた


なんで褒められてるか僕にはわからなかった

大きなのっぽの古時計くらい誰でも知っているだろう

そんなことを行ったら彼女はへこんでしまうだろう

だから、黙っておく。


次の日の朝

二人は二日酔いになりながら熱海の町並みを出歩いた

刺し身がとっても美味しかった、君も刺し身を

「美味しい、美味しい」といってどんどん食べていたね


今日は帰る日なのが残念だと君は言っていた

「また来ようね」と君が言ったけど

「もう無理か」と寂しげな表情をした


僕は「君の骨と一緒に来るよ」と言ったけど

君はちょっと理解してなかったみたいだった


彼女がちょっとニヤついたのを僕は見逃さなかった。


そして僕らは帰路についた

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