海獣料理研究家F美(ホラー要素あり)
オレはあるTV局のカメラマン。
今から深夜番組の収録でカメラを回す。
スタジオ入りしてカメラの設定を終え、一服しているとADに案内され演者が入ってきた。
本番の声がかかり司会のアナウンサーがオープニングのセリフを読み上げる。
今回のゲストは海獣料理研究家のF美さん。
ふわふわとした長い髪、小動物を思わせる小柄な佇まい。
とてもクジラやイルカ、アザラシを好んで食するようには見えない。
「F美さんは直接、捕鯨船に乗ったこともあるんですね?」
「はい、どうしてもクジラ一頭を間近で見たくて、船のオーナーに頼み込みました!」
「凄い熱意ですね」
「ありがとうございます。海獣は手に入りにくい食材なので現地を回るのはとても大切なんです。そこから出会いもありますので!」
そして今までに出会った面白人物のエピソードが語られる。
「でも、一番は手軽に美味しく楽しんでもらえる料理レシピの開発です」
番組は台本通り順調だった。
ゴポッ。
突然、水音がした。
そしてスタジオ内が水に飲み込まれた。
それは海水だった。
「ごめんなさい、海獣料理研究家って本当は海獣を料理するわけじゃないの」
水の中だというのにF美さんの声が聞こえた。
皆が慌てふためく中、何故かF美さんだけが悠然と出演者用のソファに座っている。
「さっきまでの話は全部嘘。あたし、海獣であり料理研究家なの。好きな食材は陸の哺乳類」
どういうことだ。
薄れていく意識の中で、F美さんのスカートから尾ヒレがはみ出しているのが見えた。そして最後に嬉しそうな彼女の声が。
「ふふ、今日は大漁ね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます