第32話 引かれたトリガー
(解けなかった 解けなかった 解け……
難しかった ただそれだけだ よし 今悩んだところで変わらない 操琉試験があるんだ 心入れ替えるぞ)
ロイはタイタニアのお母さんが作ってくれた弁当をかきこんだ。
朝、先生が持たせてくれた。
操琉試験は14時から始まる。
13時半には受験番号ごとに決まった場所に並ぶよう指示されていた。
「フィアマ 行けるか?」
グルア! ガァ!
(僕の受験番号は213か ということはCの場所に並べばいいのか)
受験生は自分が従えるドラゴンと共に外に並んでいた。
「おい あれ
「本当だ 初めて見た」
「能竜 今年3頭いるらしいぜ」
「違うぞ 1頭は自称だよ さっき見たけどただのマノだった」
「ふーん じゃあ2頭か」
ロイのことを好奇の目で見て噂をしている。
(自称能竜? リンキッドだ やっぱ受けてたんだ)
「ただいまより 操琉試験の会場へ移動する
Cグループ受験番号201〜248の受験生諸君は私についてくるように」
強面のいかつい先生がそう言った。受験生はドラゴンに乗りその先生の後を追いかけた。
「ねえ ねえ」
隣から呼びかける声が聞こえた。
「ん? ぼ……僕?」
「君のドラゴン 能竜なんだね 凄い!」
「君は誰?」
「初めて見た! どこで買ったの? それとも譲り受けたの? 探しに行ったりして どっちにせよ凄い!」
「見つけたんだ」
「凄い! もっと凄い! デステニーじゃん」
明るい茶色髪した少年が僕を圧倒しながら話かけ続けた。
「ねえ 友達になろうよ!」
「え いきなり……」
動揺した。彼ほどの強引な人に今まで会ったことがなかった。
「僕のこと嫌いなの?」
「そうじゃないけど 受験中だし」
「じゃあ 友達ね 僕 受験中でも構わないし」
(僕は構うんだよ でも まあ 断ったら余計面倒なことになりそうだし)
「別に いいけど」
「別にって何?」
「いい いいよ」
(めんどくさいな)
† † †
14時、試験は開始した。番号の若い順から5名が呼び出された。ロイの出番は比較的早く回ってきた。
「次 211〜215番」
先生が呼びかけた。
「一緒?! 何番?」
「え 2…… 13」
再びさっきの少年に絡まれ、渋々言った。
「嘘?! じゃあ筆記試験 僕の前の席じゃん! 全然気が付かなかった」
「214ってこと?」
「これって デステニーじゃん 袖振り合うも多生の縁っていうけど こんなん振り合うどころか絡まり合って なんなら千切れちゃってるよ!」
(何言ってんだ それに 定期的に僕の質問無視するし)
「頑張ろう 親友!」
「え? あ うん」
(よく喋るな 緊張してないのか?)
先生によって大きな門が開かれた。
天井はなく、周りは観客席のようになっている大きな壁で囲われていた。そして地面は大穴。
門の前には多少の地面はあるが、踏み出そうものなら即落下。
観客席の上の方の通路には何名か試験監督らしき人が立っている。
受験生はドラゴンと共に中に入るよう指示された。
門の前で開けてくれた先生が試験内容を説明した。
「試験時間は10分 自分の操琉技術を今ここで見せつけなさい リタイアするものは直ちに私に知らせるように 以上 健闘を祈ります」
(何がはじまるんだ パフォーマンスをしろというのか?)
「試験 開始!!」
その言葉を皮切りに、壁にいた試験監督が一斉に手を目の前に掲げ使役宣言を口にした。
(使役魔法?
彼らは魔法で受験生に向かって水の球を放った。
「はは 説明なしかよ!」
あの少年は楽しそうに笑みを浮かべた。
しかし、さっきとはまるで別人かのような真剣な眼差しに変わっていた。
(属性宣言もなし あれか あの掌の小さい宝石
魔具に使役魔法文法を刻み込むことで、文法の省略ができる。あとは、使用者の魔力操作によって任意のタイミングで発動できる。
(直線的な球を避けるだけ それに当たっても対して…… でも試験だ 減点になるのかもしれない)
ロイはスルリと水の球を
「熱い!」
(後ろから狙われた?)
後方を確認したが、狙っていたであろう人がいない。
(移動した? いや動いている様子はない
ずっと立ったまま放っているだと……
おかしい……
はっ!
弾数 大きさは共にバングに見せかける罠?!)
[バング 半径(cm) 温度(℃)
半径10cmの球を前方に放つ
(温度はその状況下で一番保ちやすい温度となる。)
遍く存在よ命ずる アクア バング π α
半径15cmの0℃の水(氷)の球を前方に放つ]
___
第32話 『引かれたトリガー』
最後までお読みいただきありがとうございます!
使役魔法についてもっと詳しく説明しておけばよかったと今になって後悔。
よくわからないこと言ってると思いますが、その時は気軽に質問してくださると助かります。
それに喜びます。
ハートとフォローをしてくださっても喜びます!
星欲しい!!
次回も読んでくださいっっっ!
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