第31話 緊張と闘志
光陰矢のごとし、その日はあっという間に訪れた。
7月10日、私立デカリラ武官学園の受験日である。
天候は快晴、最高気温、最低気温共に例年通りの過ごしやすいなんの変哲もない日常が受験日という出来事のせいでどこか空気に違和感を感じさせる。
「先生じゃあ行ってくるよ」
時刻は午前6時。
今日は先生が僕の家まで来てくれていた。
オリビアとモーガンの2人はいない。彼女はジュート台地から西方向に位置する神代地方で受験をするため前入りしていた。
「受験票は持った? 筆箱もちゃんとあるね?」
バックの中を漁り、しっかりとあることを確認した。
「うん 大丈夫」
「頑張れ 大丈夫!」
そう言って背中をポンっと叩いた。
「ありがとう」
正直緊張していた。初めての受験、さらにそれが第一志望で難関校。不安じゃないことなど一つもなかった。
戸を開けるとそこには見違えるほど、成長したフィアマが待っていた。
「行くよ フィアマ」
グィア
台地には最高速で行けば1時間ちょいで着く。しかし、今日は筆記試験と操琉試験の両方を行うためフィアマの体力の温存のため少々ゆっくりめで行った。
† † †
試験開始は8時半。ロイは8時には既に受験会場に着いていた。試験の内容は以下の通りだ。
8:30〜9:00 社会 30分 配点50点
9:10〜9:40 科学 30分 配点50点
9:50〜10:20 獣学 30分 配点50点
10:30〜11:30 使役魔法文法 60分 配点100点
11:40〜12:40 数学 60分 配点100点
12:40〜14:00 昼休憩
14:00〜17:00 操琉試験
(社会 科学 獣学は配点が低い上に難しい 平均はいつも25を下回るって 解ける問題を確実に……)
緊張はしていた。しかし、それが自身のポテンシャルの
これまでの自分が、支えてくれた人々の影が、闘う力をくれた。
僕の心は確実に燃えたぎっていた。
† † †
(使役魔法文法 学習指導要領的には顕現Ⅰの内容だけのはずだが 半分くらいは顕現Ⅱの範囲も混じっている しかし前年の自分の過去問の点数は86 平均が53.6だったことを考えると 一番自信がある 大問①の小門集合は確実に満点を取っておきたい)
大問①
(1)“
(は なんだそのマイナー属性 知るかよ… 最初から空欄 幸先悪いな)
大問①(1)から既に空欄を作ってしまったが、それ以降の問題は得意分野なだけあって順調に解き進めていった。
† † †
(筆記試験最後 数学 苦手ではない が デカリラは単純に難しすぎる 難しい要因は大きく3つ 1つ 単純な問題数の多さ60分で解き切れる量じゃない 2つ 煩雑でミスを誘う計算量 3つ 傾向の掴めない策問 でもファアマのためにもなるべく点数は稼いでおきたい… 図形メインだと助かる……)
終わった。
60分という時間はあまりにも短すぎた。
解けたのは大問②(1)(2)と大問③(1)(2)(3)だけ。
大問は全部で6問。
全体の2割しか手をつけられなかった。
[私立デカリラ武官学園 武官とは言えど文武両道を謳い試験の難しさ卒業の厳しさはテトラゴラス一。初頭学校から高等学校まである。しかし、内部生であっても容赦はせず卒業ごとに、試験を行い著しく成績の悪い者は除籍処分となる。名実ともに名の馳せた私立学校である。]
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第31話 『緊張と闘志』
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