第29話 仔犬と猫
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白髪と金髪の2人の女子生徒が並んで次の授業の教室へ移動している。
「オリビアちゃん」
「ん 何 ベル?」
「今日の放課後 図書室行かない?」
「いいよ」
「本当! やったー」
「でも何でそんな嬉しそうなの?」
「実はね この前言ってた窓際の噴水が見える席 2つ取れたんだ」
「そうなの?! でもいつも埋まってるって」
「今日は早起きして学校来たから一番に予約取れたんだ」
「朝は苦手じゃなかったの?」
「まあそうなんだけどぉ どうしてもオリビアちゃんとあの席で勉強教えて貰いたくって 勉強教えてもらってるお礼も込めて頑張った!」
「私の為に苦手なことしなくていいのに 私は好きで勉強教えてるのに
でも ありがとう! すっごく嬉しい」
「褒めてくれる?」
「もっちろん!」
ヨシヨシ
オリビアは金色に輝くベル・フォルシティアの髪を優しく撫でた。
「えへへ」
†◇† †◇† †◇†
「オリビアちゃん 見て!」
図書室の予約表を指差して言った。そこには今日の日付7月17日の一番先頭の欄にベルとオリビアの名前と座席の番号が書かれてあった。
「本当だ! 一番じゃない!」
「うん! ねえ 早く 早く」
小さな声で私の手を引いた。
「もう そんなに急ぐことないでしょ」
バフッ
ベルが突然立ち止まり、私はそのままベルに衝突した。
「うわっ どうしたの? ベル」
そう言って、ベルの視線の向こうに目をやれば、全てを
「ビクトリアちゃん……」
「なーに? 大声出して ここは図書室よ」
赤髪の生徒は言った。
4人の生徒はベルが予約していた長い座席が向かい合った席に悪びれる様子もなく座っていた。
「あら オリビアさんとそれに…… まあいいわ あまり大声を出さないでいただける? 周りの迷惑よ」
「ベル? ここよね?」
耳打ちして聞いた。返事はなくとも、首を縦に振った。
「先程大きな声を出してしまったことは反省します」
「以後気をつけるように」
体を前に戻した。
「あの」
「なんですか?」
「ここベルが予約した席なので譲っていただけますか?」
「はい? ベルってそちらの?」
「そうです それに予約札 そこに立ってますよね?」
「本当ですね 気づきませんでした」
そんな訳がない。他テーブルは中央に予約札が置いてあるのに、この席だけ明らかに隅の方へ追いやられていた。
「譲っていただけませんか?」
「いいえ」
「え」
「今日はそんなに混んでいませんよ 違う席をお使いになられては? それに2人で使うより4人で使う方がよっぽど有意義かと」
「そういう訳にはいきませんので ルールは守っていただいて ここを予約したのはベルですあなた達ではありませんよね」
「ここでなくて2人席ならいくらでも空いてます それとも後から2人来るのですか?」
「ええ 来ますわ」
「オリビアちゃん……」
「ふ ふふふふ そんな見え見えの嘘恥ずかしいですわよ これだから貧乏人は困りますわ 虚勢を張りたがりますもの あなたにお友達がいないことは周知の事実ですわ」
「いるわよ……」
「ああ そうでした そうでした そこにいる鈍物が唯一のお友達でした」
プツッ
オリビアの中で何かが切れた音がした。
「ベルは鈍物なんかじゃない この席はベルが頑張って早起きをして取ってくれたの それは自身の利益のためじゃない 私のためよ
だからこの努力を踏み躙るようなこと 私は
「早起きが努力ということかしら 笑わせないで」
「人には 得意不得意があるものよ 何がおかしいのかしら」
「早起きは生活習慣の基本 そんなのも出来ないからいつまで経っても 鈍物のままなんじゃないかしら」
「オリビアちゃん……」
「早起きと頭の良さの因果関係を証明できる訳? それにあなた1位獲ったこと無いわよね もしかして早起き苦手なのかしら」
赤髪のビクトリア・キュクロスはついに立ち上がった。
「ちょっと 話が飛躍し過ぎでは?」
「オリビアちゃん……」
「でも事実よ」
「オリビアちゃん!」
「は!」
「いいよ また 今度にしよ」
「で でも」
「私は大丈夫だから それよりもオリビアちゃんが喧嘩してるほうが見たくないな」
「喧嘩じゃ……」
「行こ こっちの席空いてるよ」
そう作り笑いを浮かべて見せた。
† 十†月 †
「学校辞めてくれたら いじめたりしないわ」
「本当ね?」
「ええ 嘘はつかないわ」
オリビアは次の日学校を辞めた。
[ベル・フォルシティア:オリビアの親友。温厚で
ビクトリア・キュクロス:オリビアを目の敵にしている。努力家で負けず嫌い。ビクトリアの家はクナイン女学園で最も裕福な家の一つ。]
___
第29話 『仔犬と猫』
最後まで読んでくれた皆皆様に幸福が訪れること心から願っております。
「いつも読んでくれてること 感謝するわ
これから先もずっと読み続けることね
って 私の再登場はまだ先なの?!
オホン
少し取り乱してしまいましたわ これではキュクロス家の名に恥じますわ
まあ そう言うことだから最低でも私が再び登場するまで全読しておくことね
あとハートとフォローを忘れないことね
忘れた者には家まで直接使用人を向かわすから覚悟してなさい
ではまた会うその日まで ご機嫌よう」
すいません。
星欲しい!!
これからもよろしくお願いします。
次回で会いましょう
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