第27話 あの晩のこと
「へ?」
想像もしていなかった考えに唖然とした。
「だから “興味”あるんですよね?」
「興味って どういう意味ですか?」
無論ある程度の検討はついている。
「それはもちろん 好きな女の子として」
「え」
「もっと 直接的に言った方がいいですか? そうですね 性て……」
「ちょ ちょ ちょ ちょっと待って もういい わかった 大丈夫だから」
「そうですか じゃあ どうなんですか?」
「…… まあ」
(可愛くないとは言わない タイプじゃない訳でもない でもだからって好きに直接繋がるかって…)
「なくはない……」
「え 今なんか言いました?」
「なんでもない」
「じゃあ つまり何かは言ったってことですよね?」
「ん」
「まあ 恥ずかしいなら今話さなくても大丈夫です」
(なんか もう既に「興味ある」で解釈してない?)
「ってか なんでそもそもそんなこと聞くんですか?」
「えーと」
(口に手を当てた 嘘つくな)
「オリビア様の彼氏になっていただくためです」
(違う 声色が変わった やっぱり)
「嘘 ですね それに僕が彼氏なんて いいんですか専属メイドとして」
「はい 少なくとも私にとっては好印象ですよ」
「でも彼氏にするかは別ですよね」
「もし私がロイ君と同じくらいの年齢だったら確実に好きになってます」
そうにこやかに僕に言ってきたので流石に冷静さを保てず動揺した。
「ちょ ちょっと ふざけないでくださいよ ってか 本当こと話してください」
「ふう 嘘ついているのがわかるんですか? まあでも 半分嘘ですけど半分本当です」
溜息をつき、白状するようそう言った。
「どう言うことですか?」
「正直私も詳しくは聞いておりません オリビア様は初等教育に通われていました それはご存知ですか?」
「まあ なんとなく? 台地出身でそれにいいとこの娘さんが通ってないわけないとは思ってたけど 何かあったのですか?」
「“いじめ” があったのだと私は思っています」
重々しい表情でそう告げる。
「でもオリビア様から直接確認した訳ではないので 確実ではありません が 学校で嫌なことがあって学校を辞めてこちらに来たのは事実です」
「なるほど……」
「そこでロイ様に 聞いて欲しいのです どうしても私には隠したがるので お願いします」
「……」
すぐに返事をすることはできなかった。
というより、二つ返事で快諾していいような内容じゃないと思った。
仲が決して良好とはいえないオリビアの過去を、いつも近くにいるモーガンにも隠したいことを僕が聞けるのかと思った。
でも力になりたいとは思った。だから僕はこう言った。
「断りはしません でも あんまり期待しないでください」
「ありがとうございます」
バタン
オリビアが脱衣所から出てきた。
「いいわよ 入って……」
「あ じゃあ僕が」
そう言ってオリビアの横を通りすぎる時、目が少し赤かった気がした。
いつの間にか置いてある高級そうなシャンプーやら。
無論僕は使わず石鹸で洗う。
いつもは気にならないのに、今日は嗅覚が敏感にその匂いに反応してしまう。
「はぁ なんだかな」
[オリビアは以前“私立クナイン北総合学園”に通っていた。この学園は政府のエリートや超が付くほどの大金持ちの娘ばかりが通うお嬢様校である。]
___
最後までお読みくださりありがとうございます。
いきなりあの晩のことと言われて何?と思ったかもしれませんが 第17話 『鏡』 の続きになります。
オリビアの過去が少し垣間見えましたが実際のところどうだったんでしょうか。
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