第17話 鏡
先生の発案で僕らはドラゴンを交換することになった。
僕はタイタニアのドラゴン“ガング”を
タイタニアはオリビアのドラゴン“オレア”を
オリビアは僕のドラゴン“フィアマ”を交換することとなった。
「ガ ガング?」
グガァッ ッガグワァッ
「う うわ」
ドテッ
僕はガングに
「ロイ君」
「せ 先生」
「ドラゴンはね わかるんだ」
「何をですか?」
「人の心をさ
君はガングをどこか怖がっている……
それか 嫌悪している?
ドラゴンはそれを受け取るんだ」
確かに僕は、ガングのことを怖いと思う。
飼い慣らされているとはいえ、人を全く襲わないわけじゃない。
ましてや、僕は最近ドラゴンの幼獣を飼い始めたばかりだ。
それに、タイタニアは僕のことを嫌っている様だし、僕も馬が合わないと思う。
だからそんな奴に飼い慣らされているドラゴンを純粋な目では見れていなかった。
「落ち着いて」
先生は僕の手を取って、ガングの額まで誘導した。
「ハァ ハァ」
「一度真っ直ぐガングの目を見てごらん」
ガングの目はエメラルドの様に透き通り、中で光が乱反射していた。
僕が “綺麗” そう思った瞬間ガングは僕の方に顔を近づけてきた。
「ちょ ちょっと」
僕は嬉しかった。
「ガングは本当は君と仲良くなりたかったんじゃないかな
ドラゴンは飼い主を写す鏡だ
ガングを知ることはタイタニアを知ることになる」
「タイタニアは僕と……」
「今日仲良く出来なかったら帰り道ないからな〜」
先生はそう言い残し離れていった。
バサ バサッ
◇ ◇ ◇
「せんせー」
オレアに乗ったタイタニアは先生の所へ降りてきた。
「もう乗れるのかい?」
「うん この子 すっごいいい子なんだ オリビアと違って」
バサ ドタン
オレアは急に翼を広げ、タイタニアを地面に落とした。
「い いってー」
「大丈夫?」
「うん 多分俺がオリビアの悪口言ったからだと思う でもそれも含めていい子なんだ!」
彼は快活にそう答えた。
(それも含めてタイタニア君はいい子だ)
「ふふ」
「先生 何笑ってるの 落とされたのがそんな面白い?」
ほんの少し怒り気味に言った。
「いや オレアが受け入れた理由がわかって……」
「ふーん」
◇ ◇ ◇
(さーて オリビア君はどうかな?)
マーティン先生は、窓の外から家の中を覗いた。
そこには元気にはしゃぐフィアマの姿と授業では一度も見せたことがない様な笑顔のオリビアがいた。
(大丈夫そうだな)
† † †
「先生じゃあまた明日 さよなら」
僕はガングに乗って、オリビア、フィアマ、モーガンを乗せて、帰路に着いた。
キャ キャキュァ
「何でそんなに仲良しなんだよ」
「ロイ君だって ガングと仲良くやっている様だけど?」
「それは まあ」
僕よりフィアマがオリビアに懐いているような気がしてならなかった。
†◇† †◇† †◇†
「火はそんな弱火でいいんですか?」
「うん 時間はどうしてもかかっちゃうんだけどね
その分いいタイミングを逃さないで済むから」
「なるほど 前の厨房では時間が命でしたので」
「凄いなー モーガンさんは」
「いえ そんな」
「でも ここからスピード勝負だから見ててよ 伸びた麺は美味しくないからね」
ロイは慣れた手つきでパスタを茹でていた湯とフライパンのオリーブオイルを乳化させ、パスタと絡めた。
「完成!」
「凄いです とてもいい香りで美味しそうです!」
「へっ へーん」
「あ ダメ! フィアマ!」
お風呂場の方からオリビアの叫び声が聞こえてきた。
(フィアマ?!)
僕は急いで脱衣所へ向かい、お風呂場のドアを開けてしまった。
「あ ……」
お風呂から身を乗り上げ、フィアマを抱えたオリビアと僕は見つめ合い時が止まった。
…………
「ちょっと 何考えてんのよ!」
僕は急いでドアを閉じた。
「ご ごめん 本当 ごめん」
ドアの前で
「ロイ君」
不気味な笑顔でそう言った。
「なんですか……?」
「こっちに」
僕はダイニングに呼び出された。
「本当 ごめんなさい 別にそういうつもりじゃ……」
「ロイ君は オリビア様にご興味をおありで?」
「へ?」
[オリビアは大手高級チョコレイト会社の社長令嬢。モーガン・セリルはオリビアの専属メイド。]
___
第17話 鏡 をお読み頂きありがとうございます!
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
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