第5話 先客
「ねえ なんか音がした気がする」
「ああ この奥からだ」
父はそう言って、奥の方へ一歩また一歩と歩みを進めた。
後ろからロイもついて行く。
「この岩の後ろだ」
「うん」
2人は恐る恐る、岩影を覗き込んだ。
そこには、黄色に光る2つの宝石が闇に浮かんでいた。
その時だった。
ドゴーン ゴロゴロゴロゴロ
あたりは瞬く間に光に包まれ、その宝石の正体を暴いてみせた。
それは、青銅色の隆隆とした鱗に、金色の瞳をもつ……
「あ!」
ロイは興奮気味だった。
「父さんこれ 竜の幼獣だ!
しかも見て!
翼に手があって
ここにも腕! これ中腕でしょ
決めた!この子にする!」
未発達な翼腕を両手で持ち上げ父に説明して見せた。
「おい 降ろしてやれ 今にもべそかきそうだ はぁ」
「あ ごめん」
竜の目を見て降ろしてやった。
「でも凄くない? 能竜だよ! 興奮しないの?」
「凄いが安心の方が今は大きいかな」
「え?」
「ドレイクとかワームが来たら今は応戦できないからな そうじゃなくて本当によかった」
「あ たしかに」
ロイは興奮していた。
初めて見る能竜に釘付けになっていた。
「ところで 何でこんなところに能竜がいるんだろ」
「多分 “獅子の子落とし” だな」
「ししのこおとし?」
「ああ 能竜は子育てをしない
テキトーな場所に子を置き去りにするんだ」
「え? でもそんなことしたら子孫残せないよ」
「そうだな 普通の生き物だったらな」
「どういうこと?」
「能竜は賢い
それに幼獣だろうとある程度の狩はできるし
成長も早い
それでも死んでしまう奴もいるがな」
「なるほど」
「コイツが生きてるってことは
ここらへんにドレイクとかはいないんだろう
いたらとっくに喰われてる」
「そんな強いの?」
「陸の厄災……
能竜の成獣だって翼なくして勝つのは難しい
なんならそいつから逃げるためドラゴンは飛んだなんて説もある」
「こ 怖いね」
ガルルゥゥ ゴァ ガルルゥ
「まさか?」
[ドレイク:鎧の様な鱗を纏い、分厚い尾を垂らす四足獣。ワーム:大蛇、人間をも丸呑みにする。]
___
まさか!!第5話まで!!
ここまで読んでくださり本当に嬉しい限りでございます。
先客とは能竜のことだったんでしょうか
次…気になりません?
っとその前にハートとフォローを!!
星欲しい!!
第5話 『先客』 をお読みくださりありがとうございます。
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