第4話 別世界

「父さん た 高いよぉ」


地域柄、別段高所が苦手なわけでは無いが、竜の前腕に全てを託すという安心感の無さはロイの腰を引かせた。


「腰が引けてんじゃねーのか? ロイ」


「ひ ひけてねーし」


「声が震えているぞ」


父は呑気だ。


ロイがこんな状況に晒されているのに平気で笑っている。


正気じゃない。


「ってか どこ向かってるの? ジュート台地は真反対だよ」


「ジュート台地には行かないぞ」


「え?」


「昨日の奴らと似たドラゴンじゃつまんないだろ イレムリアに行く」


「隣国のイレムリア? テトラゴラスと停戦中の?」


「ああ」


「ドラゴン買えるの? 


入国理由ドラゴンを買うじゃ絶対通してもらえないよ 


嘘つくの?」


「嘘はつかん 大丈夫だ心配するな」



ロイの住むテトラゴラス王国は隣国イレムリアと停戦状態にある。


ドラゴンは戦争の重要な道具でもあるため、両国共に敵国とのドラゴンの売買は逆賊行為とみなされ、厳重に処罰される。


「おい そんなことより前でなんか騒いでるぞ」


「あーー!」

「あーー!」


2人の声が重なった。


「あいつだよ昨日来た タイタニア ん レウリアか?」


リンキッドの薄ら笑いは脳裏に焼き付いているが…


「留守番しなくていいのか? 留守番野郎!」


「留守番はやめたんだよ!」


一瞬のことだった。


竜はものすごい勢いで奴の上空を掠めた。


「屁っり腰はもう終わりか?」


「うん! もう全然怖くないや!」


「そうか じゃあスピード上げるぞ!」


「え? まだ速くなるの?!」


ロイは楽しんでいた。


眼前に広がり続ける世界を。


昨日とは別世界なんだと実感した。


未来に希望が満ちていく


それはまるで、曇天から快晴へと光が差し込む様だった。


雨が降った。


遠くで光が弾けた。


数秒置いて音が鳴った。


それはスピードを上げて30分くらい経った頃の出来事だった。


「まずいな」


「父さん どうするの?」


「もう少しなんだ 


それにコイツもトップスピードできたんだ


引き返すなんてことしたら


流石にドラゴンだってヘソくらい曲げる 


このままいくぞ」


一向に雨は弱まる気がしない。


雷も明らかに近づいてきている。


というより、目的地は雷の方向だ。


これ以上進むのは無謀だった。


「父さん 見て! 右下! 洞窟があった」


「え どこだ? 本当だ!」



  † † †



2人と1匹は洞窟へ入り雨宿りすることにした。


「はい 父さんこれ」


「お 準備がいいな ありがとう」


ロイはリュックからタオルを取り出し、父へ渡した。


「アリアも濡れちゃったね」


ロイは竜も拭いてやった。


「乗せるのはダメで 拭くのはいいのかよ 


まあ 僕があんまり濡れてないのはアリアのおかげなんだけど 


都合がいいよな」


少し不服そうに言った。


「!? さっきなんて言った?」


驚いた顔をした父が僕の方を見た。


「え 都合がいいって……」


「ちが……」


バタッ


言葉を遮る様に音がした。何かがいる。


[テトラゴラス王国はジュート台地と呼ばれる家が万と建てられる台地に王宮を構える。とても栄えている。]


___

第4話を最後まで読んでくださり本当に感謝しています。


最後になぜ父が驚いたのか


すぐに回収される伏線です!


だから次もその次もどうか どうか読んでください!


ハートを押せば私を救えると思って差し支えありません。


正直、無理を言ってでもハートを押してフォローして欲しい!


星欲しい!!


よければ第5話もどうぞ

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