第3話 世界への門出前夜

父が帰宅し、いつもの様に食卓を挟んだ。


「ねぇ お父さん」


「ん 何だ?」


「何で僕にはドラゴンがいないの? 僕は一生お留守番なの? 道無しはやだよ……」


一生という言葉は少年にとって果てしなく長い景色に思えた。


そこには同じ風景しか映らないことを諭り、孤独と恐怖に絶望していた。


「おい どうしたんだ 何かあったのか?」


今日の出来事を父に話した。


話していくうちに、どんどんと涙腺が緩んだ。


「ほぉー なるほどな 


ドラゴンがいればいいんだろ 


ならお前が産まれた時からもう既にいるぞ!」


「えっ! 本当!?」


涙のせいだろうか瞳はいつにも増して輝きを見せた。


「来い」


そう言って僕を家の外へ連れ出した。


「これがそうさ! じゃっじゃーん!」


「え」


純白に染まった翼に真紅のたてがみ、そうそれは紛うこと無き



鶏だった。


コケェ コッコッコ コケェ


笑えなかった。


父とロイには明らかなすれ違いがあった。


無言でロイは家に戻った。


すぐに父もバツが悪そうに後を追いかけた。


食卓は静まり返った。


「ご ごめんなロイちょっとした冗談のつもりだったんだけど……」


「うん わかってる」


「ロイ 空 飛びたいか?」


「うん」


「実はそろそろなんじゃ無いかなって思って」


「え?」


「世界に飛び出したくなる頃 


明日お前のドラゴンを買いに行くぞ」


「本当?! ドラゴンって買えるの?」


「ああ もちろんだ わかったら今日は早めに寝るぞ」


「うん!」


ロイは食器を洗い、すぐにベットに直行した。


明日は人生最高の日かもしれない。


(ラミア様望まぬ窮地を救う恩恵を 信じます)


ロイは手を堅く結んで天を仰いだ。



  † 明†朝 †



(風が強いな天気が荒れそうだ 


まあいっか俺の勘が大丈夫と言っている 


アリアお前もそう思うだろ)


グウゥゥ 


父は竜を撫でた。


「父さん お待たせ」


風向を探っていた父がこちらを振り向いた。


「どうしたんだ その荷物」


「え 包帯とかハサミとか毛抜き 


それにロイ特製ドラゴン団子! 


どう? 美味しそうでしょ!」


「別に手ぶらでもいいんだぞお前は 


お金は持ってるし」


「備えあれば憂いなしって言うでしょ 


ってかこれ美味しそうじゃない?」


「え ん まあ それなりに」


正直そこまで美味しそうには見えなかったが、ドラゴン用であるのに加え、父は昨日のことを猛省していた。


「まあ いいや 出発だ!」


父は竜に跨った。



そして僕は掴まれている。


「って ええええー!」


「しょうがないだろ ドラゴンは認めた1人のライダーしか乗せたがらないんだ」


「こんなのやだーーー」


[魔法には種類がある。信仰魔法と使役魔法、そして代償のことわりだ。]


___

第3話まで読んでくださったんですね!!


ありがとうございます!!


こんな拙い文章ですが


精一杯ワクワクさせられるような作品を作れるように頑張ります!


ハートだけでも置いて行ってくださると歓喜します。


星欲しい!!


第4話もそれほど長くないので読んでいただけると幸いです。

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