2.ネズミ盗み撮り作戦開始
◯キャラクター(推奨3人、最大4人)
※多、少はセリフの量です。2役以上で割り振る場合、目安にしてください。
ナレーション(N)……ゴマの声。多
ゴマ……♂、ちょっとガラガラ声。多
ルナ……♂、高い声の男の子。多
プレアデス……♂、爽やかに。多
◯ポイント
今回は短め。練習用や、放送終了時間間際の時間合わせに使ってください(*´ω`*)
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N「ここは、プルートのジジイが開発した、結界通過トンネル〝ワームホール〟の中だ。〝ネズミの理想郷〟とやらへと続く、色とりどりの光の空間をボクらはひたすら進んだ。お? 段々と、二足歩行が出来るようになってきたぜ。そしてボクらはトンネルを抜けた」
ゴマ「うお、なんだこれは」
ルナ「すごーい!」
N「トンネルを抜けた場所は、夜の森の中だった。が、周りに生えてるのは木じゃなく、ボクの背丈よりも大きくそびえ立つ草花の数々だった。そして、やけに体がフワフワとしている。ボクらは、ネズミサイズになってしまったんだ。トンネルの方を振り返ってみると、巨大なプルートのジジイのブキミな姿が見えるかと思ったが、結界の外の様子が全く見えない。いくつもの星が瞬く夜空が見えるだけだった」
プレアデス「来たね、ゴマくんルナくん。ここからは静かにね。ネズミ族に見つからないようにするんだ。あ、これ君たちの服、それからニャイフォン。カメラ機能の使い方は、後で教えるから」
N「ボクらは用意された服をパパッと着た。ん? 服と一緒に変な被り物も用意されているじゃねえか。厚紙みてえな物で作られた灰色の被り物に、紙やプラスチックで作られた目と鼻とヒゲが雑に貼られている。中が空洞のミミズみてえな形の、ゴムのような物で出来た物もあった」
ゴマ「待て待てプレアデスよ。これは何だよ」
プレアデス「それは、ネズミの顔と、尻尾だよ。ほら、頭にかぶって」
ルナ「わっ……!」
N「プレアデスがルナの頭に、雑な出来のネズミの顔の被り物をかぶせた。次いでミミズのような尻尾も、ルナの尻尾の上からかぶせやがった」
プレアデス「これで、もしネズミ族に見つかってもごまかせる。多分ね」
ゴマ「多分ねって、お前なあ……」
プレアデス「ほら、ゴマくんもかぶって」
ゴマ「おいやめろ!」
N「ボクもプレアデスに無理矢理、ネズミの被り物をかぶせられた。毛の質感といい、明らかに縫い合わされた跡といい、こんなの偽物だってすぐわかるだろう。本当に大丈夫か、コイツ。空気穴があるから、幸い息はしやすかった。かろうじて前も見える」
ゴマ「ルナ、大丈夫か……? 前見えるか?」
ルナ「何とか……」
N「プレアデスの野郎もすぐに、ネズミの被り物を装備した。顔を動かすたびにバタバタと音がして、かえってバレそうな気しかしない」
ゴマ「ネズミ族ってこんな姿なのかよ。ニャンバラの奴らと同じように服着て二足歩行で歩いてるのか?」
プレアデス「そうだよ。……って、プルートが言ってた」
ゴマ「おい、何だよそれ!」
プレアデス「この林を抜けたら、ネズミ族の街だ。さ、準備できたら、僕についてきて」
N「不思議な事に、ボクらの世界だと冬だったが、こっちの世界はまだ秋真っ盛りのようだ。小脇に抱えられるほどのデカさのドングリが、そこかしこに転がっている。冬の毛だと少し体がホテる。今更後戻りは出来ねえ。不安を抱えたまま、ボクらはプレアデスの後をついて行った。まだ夜明け前だから、街に潜り込むってんなら今がチャンスだろう。ネズミの住む街とやらはどんな所なんだ……。不安が少しずつ、ワクワクへと変わって行った。そう、新しい冒険の予感がしたからだ」
プレアデス「……あれを見てよ」
ゴマ「おお! あれがネズミどもの街か」
ルナ「わああ……」
N「茂みを覗くと、三角や四角の形をした建物や、曲がりくねった道路、うっすら光る街灯。静まりかえった街が見えた。昼間はきっと賑わっている街なのだろうが、今はみんな眠っているのか、誰の気配もない」
プレアデス「僕についてきて。そっと、ね」
ゴマ「でかい音たてんなよ」
ルナ「わかってるよ兄ちゃん」
N「ニャンバラとはまた違った感じの都会だ。汚れがなく透き通った空気を感じ、ボクは思わず深呼吸をする。どこかホッとするような居心地良さを感じる。ボクらは公園らしき場所にたどり着いた。今から作戦のおさらいだ」
プレアデス「夜が明けたら、行動開始だ。僕は別の任務があるから、君たちとは別行動になる。君たちは、ネズミ族の生活や行動を、なるべくたくさん静止画や動画でニャイフォンに収めてほしい」
ゴマ「ふむ」
プレアデス「操作は簡単で、まずカメラ機能を起動。静止画はこの緑のボタンに触れてすぐ離す。動画は指で画面を横にスライドして、赤のボタンに触れてすぐ離すんだ。もう一度触れたら録画が完了するからね。但し、
ゴマ「何となくだが分かったぜ。いつ戻ればいいんだ」
プレアデス「お昼頃に一度、この公園に集合しよう。ニャイフォンで連絡するから」
ゴマ「わかった。……ルナ、また大冒険だな」
ルナ「遊びに来てるんじゃないんだから」
N「こうして、ボクらの新たな大冒険の幕が開けたんだ。地平線が白み始める。ボクはネズミの被り物をしっかり装着し直した。いよいよ、ネズミ盗み撮り作戦が始まるんだ。あまり気持ちのいいモンでもねえが」
プレアデス「さあ、そろそろネズミ族が出て来る頃だろう。僕は行くけど、大丈夫かい?」
ゴマ「ああ任せとけ」
ルナ「心配……」
プレアデス「じゃあ、頼んだよ。またお昼に」
N「プレアデスはそう言うとあっという間に、小道の向こうに姿を消しやがった。その動きは、ネズミさながらだった。意外としっかり、ネズミに成り切ってやがる」
ゴマ「……だめだ。今頃眠くなってきやがった」
ルナ「僕も……。でも、見つからないところに行かなきゃ」
ゴマ「そうだな」
N「公園の真ん中にある四角形の倉庫の陰に、ボクらが余裕を持って入り込める大きさの箱が置いてあった。中に藁も敷いてあって、寝るのに最適だ」
ゴマ「よし。ここで一眠りするか」
ルナ「そうするしかないね。もう何も考えられないや」
N「ボクらは箱の中に入り、被り物を脱いでから、互いに折り重なってすぐに眠りについた」
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