6.闇に佇む秘密の研究所
◯キャラクター(推奨4人、最大7人)
※多、少はセリフの量です。2役以上で割り振る場合、目安にしてください。
ナレーション(N)……ゴマの声。多
ゴマ……♂、ちょっとガラガラ声。今回は常に少しキレ気味。多
ルナ……♂、高い声の男の子。怖がるシーンあり。多
プレアデス……♂、声高めのお兄ちゃん。爽やかにいい人っぽく。キレるゴマや、プルートのキモさにも全く動じない。多
プルート……♂、爺さん。とにかくキモく、イカレて、狂って話して下さい。多
獣や鳥の声A……アドリブです。2回。
獣や鳥の声B……アドリブです。2回。
◯ポイント
何と言っても、プルート役がどれだけ狂えるか、です\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
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N「目が覚めた。頭がズキズキする。埃にまみれた空気のせいなのか、よく寝付けなかったのかもしれねえ。プレアデスもルナも、既に起きていた」
プレアデス「おはよう。さあ、行こうか」
ゴマ「ああ……ちゃんと案内しろよ、プレアデス。おいルナ、さっさと顔洗いに行くぞ」
ルナ「うん……」
N「ボクらは地下室にある水道の泥の混じった水で顔を洗った後、準備を済ませ、外に出た。相変わらず空は真っ黒だ。朝が来たと思ったが、まだこんな真夜中だったのか。周りも誰も居なくて、静まり返っている」
N「攻撃を受けて所々瓦礫の山と化したニャンバラの街を、3匹でひたすら歩く。ガラスとか釘みてえなものがあちこち散らばっていて、足元を見て歩かねえと怪我しちまう。小一時間ほど坂道を歩き、ボクらは丘の上にある、木で出来た2階建ての家のある場所に着いた。庭に、プロペラのついた見た事もねえ形の乗り物がある」
プレアデス「ここが僕の家さ。僕の小型飛行機に乗って空を飛んで、研究所と、地上へ繋がる穴のある山へ向かうよ」
ゴマ「クソッタレ、歩き疲れたぜ。テメエの家で少し休もうぜ」
ルナ「兄ちゃん、早く帰りたいんじゃなかったの?」
N「プレアデスはボクの言葉を無視し、庭の にある乗り物——ヒコーキとやらに乗るように指示した。ボクらはシートに乗せられる。中はギリギリ手足を動かせるぐらいの広さだった。プロペラが前に1つ、左右両方に突き出た翼に2つ。まさか、これで空を飛ぶというのだろうか」
プレアデス「ベルト締めてね。行くよ!」
N「プロペラが回転を始めた直後、ヒコーキとやらは目の前の道を高速で走り抜けたと思ったら、あっという間に空中へと飛び立った」
ゴマ「うおお、なんだこれ。ほ、本当に空を飛んでやがる!」
ルナ「こ、怖いよ兄ちゃん……!」
ゴマ「は、早く降ろせプレアデスこの野郎……!」
N「窓から下を見ると、あちこちで煙が上がっているのが見える。その上には、どこまでも遠く広がる、黒一色の空だ」
プレアデス「地上への穴の場所は、機密事項なんだ。僕たち以外には、絶対知られてはいけない。だから少し離れた場所に着陸して、そこからまた歩いて行くんだ」
ゴマ「……おい、また歩くのかよ。めんどくせえな……、ルナ、頑張れるか?」
ルナ「うん……。辛いけどついていく。ホントに帰れるんならね」
N「楽しさのカケラも無え空の旅が終わり、ボクらは山の中腹にある広場に着陸した。
蛇のような形と模様の植物が、辺りに鬱蒼と生い茂っている。暗闇の奥から時々、唸るようか声が聞こえる」
獣や鳥の声A「(アドリブ)」
獣や鳥の声B「(アドリブ)」
プレアデス「さあ、このライトを持って。足元だけを照らして、僕について来てね」
ゴマ「どのくらい歩くんだ?」
プレアデス「1時間半ほど、この山道を歩く。ついて来れる?」
ゴマ「ついて来れる? ってお前、ここまで来たら行くしかねぇーだろ」
ルナ「うわーん、また歩くのー?」
N「闇に溶ける獣道を、ボクらはひたすら歩いた。四足なら一気に駆け抜けられたんだがな……」
獣や鳥の声A「(アドリブ)」
獣や鳥の声B「(アドリブ)」
N「ずっと同じようなデコボコ道が続く。空も周りも真っ黒だ。もしこんな所に置き去りにされちまったら、気が狂ってどうにかなっちまいそうだ」
ルナ「兄ちゃん、怖いよ」
ゴマ「ならボクにつかまっとけ。あと少しだ」
プレアデス「もう少しで、地上に通じる穴と、そこに行くための乗り物がある研究所に着くよ。頑張って」
N「バカみてえな急坂を登りきったら、植物の茂みに隠れるように、銀色のドームのような形の建物があるのが見えた。どうやら着いたらしい。プレアデスは、ニャイフォンに向かって喋り出した」
プレアデス「プルート、お待たせ。着いたよ」
N「するとプレアデスのニャイフォンから、蚊の鳴くような声が聞こえてきた」
プルート「……わかぁ~りましたぁ。門を開けますぅ? グフフゥ〜」
N「キイィィと音を立てて、蔦が絡まった門が開いた」
プレアデス「さ、ゴマくんルナくん。中に入って」
ゴマ「お、おう……」
N「プレアデスに連れられ訪れた、山奥に佇むドーム形の建物——そこはまさしく、秘密基地って感じのとこだった。自動で開くガラスで出来た扉をくぐると、真っ暗な天井の下に、そこらじゅう訳の分からねえ機械とか乗り物がいくつもある。しばらく待っていると、チビで背中の曲がった、毛もボサボサで目線も定まってねえ、白一色のダボダボの服を着た、ジジイのネコが奥の扉から出て来やがった」
プルート「どぅ~もぅ、初めましてぇ? 私はぁニャンバラぁ宇宙科学研究所研究員のぅプルートですぅ。あなぁた方がぁ噂の地上民のぅ方ですねぇ? 長ぁ~い道のりぃご苦労様でしたぁ?」
N「このジジイ、正気なのか? ホントに大丈夫なのか? ルナは怖がって、ボクの後ろに隠れちまった。プルートは薄ら笑いを浮かべながら、ジリジリと少しずつボクらの方へ歩み寄ってくる」
ゴマ「ボクはゴマだ。ボクの後ろにいる奴は、ルナだ。……おい、ルナ、隠れてねえで挨拶しやがれ」
ルナ「ひ、ひぃいいいっ!」
N「ルナの奴は、すっかり怖がっちまっていた。よく見りゃただのジジイじゃねえかよ」
プレアデス「プルート、遅くなってごめんね。少し休んでから、出発でいいかい?」
プルート「はいぃい、プレアデスもお疲れ様でしたああ。お部屋へぇ? 案内いたしますぅ。グッフフフゥウ?」
N「ヒンヤリとした空気の中、真っ直ぐに続く廊下を通り、ボクらはテーブルのあるカイギシツとかいう部屋へと案内された。訳の分からねえ虫がカサコソと音を立てて、そこかしこにうろついている」
ゴマ「おいジジイ。明かりは無えのかよ。薄暗いしホコリ臭えし」
プルート「あはぁ~? ここはぁ、誰にもぅ見つかってはぁいけぇない場所なのでぇーね。少々クラァいですが、我慢してくだぁ~さいねぇ~?」
N「コイツの喋り方、本当にイライラするぜ。1つの豆電球だけが点いたり消えたりする部屋の中、ボクらはテーブルのそばの椅子に座らされた」
プルート「ではぁ~? 地上へ至るまぁでの安全についての説明をぉ、致しぃます。命ぃに関わるぅ事柄なぁので、各自ぃしっかり~ぃ、メモをぅ、取ってくださぁい?」
ゴマ「おう、メモって何だ」
ルナ「僕、字なんて書けないよ」
プレアデス「僕がちゃんとメモしとくから。でも話は聞いててね、ゴマくん、ルナくん」
N「プレアデスとルナは真剣にプルートのジジイの話を聞いてやがるが、その極端に抑揚のある話し方にイライラして、ボクは話が全く頭に入って来なかった。それに、歩きっぱなしだったから、睡魔がじわじわとボクを襲ってきたんだ」
プルート「……て、……のう~? それを着けながら……あはぁー、飛行中は~、……ら、ベルトをぉぅぅしっかぁーり? 着けてぇ~……そ」
ルナ「兄ちゃん! 何寝てるの!」
N「ルナの声がしたと思った途端、顔面に激痛が走った。ルナの奴がヒゲを思い切り引っ張りやがったんだ」
ゴマ「痛えなコラ! ちゃんと聞いてらあよ」
ルナ「兄ちゃんいびきかいてたじゃん!」
プレアデス「ゴマくん、命に関わることだから、しっかり聞いといてね」
N「プレアデスも少し怒っていた。だが、そんなこと言われてもこのジジイ、モタモタと話しやがるし声も蚊の羽音みてえだし、イライラしちまうんだ。そうこうしているうちに、説明は終わった。当たり前だが、話の内容は全く頭に入ってねえ」
プルート「それではぁ、今日はここでひと眠りしてぇ? それから出発しましょおう? お部屋はこちらでぇす」
N「次に案内された部屋は、真っ暗だが広々としていて、ふかふかのクッションもある部屋だった。どういうわけか、この部屋だけ隅々まで掃除もされていて、ホコリの匂いもねえ。水道もあるから、いつでも喉を潤せる」
プレアデス「それじゃ、夜が明けたら出発するからね。おやすみ」
ゴマ「夜が明けたらってつまり、ナントカサンとやらがまた光り出したら朝だってことだよな? たしか」
プレアデス「〝セントラル・サン〟だよ。じゃあ、しっかり寝て疲れを取ってね」
ゴマ「おう。また後でな」
ルナ「おやすみなさーい」
N「ルナは大きなソファに横になるなり、すぐに寝っこけちまいやがった。ボクは窓を開け、夜空を見上げてみた。真っ黒に染まる空にたった1つだけ、一際輝く星が見える。あれが、昼間はオレンジ色に煌々と輝いてたセントラル・サンのようだ。しばらく時間が経てば、また輝き出すってことか。しかし、この世界で夜が訪れてから、1度、ひと眠りしているはずなんだ。なのにその星は、まだ一向に明るくなる気配が無い。この真っ黒な夜は、どれだけ続くんだろうか。色々と気になったが、ひとまず眠る事にした」
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