天罰 学年一の幼馴染ver
ピンポーン。
宅配便かな?
「お母さーん。宅配便来てるよー」
あぁ仕事か。じゃあ悪いけど居留守にしようかな。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン……
ガチャ
「……え?」
今、ガチャって。
え?ええ?
誰かがうちの廊下を歩いてる。
階段をゆっくりと上ってくる。
……俺の部屋の前で足音が止まる。
コンコン
家全体に響くと思うほど大きく聞こえるノック。
「……」
「…………………………………いるよね?私だよ」
「……」
いつもの優しい声。
正真正銘、美鈴の声だ。
でも本能が言っている。「返事を返すな」と。
「………………………どうして返事をしないの?いるんでしょ?いないの?ううん、そんなわけないよね。だってさっきまでいたんだから。じゃあ無視してるってこと?どうして?どうして無視するの?ねぇ?ねぇ、ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」
ドアがガタガタと揺れる。
うん。これは美鈴であって美鈴ではない何か。
お帰り願おう。
「…………開けるよ」
ガチャ
そんな無慈悲な音を立ててドアから美鈴が入ってくる。
うん。俺の部屋、鍵付いてないんだ。誰でもフリーダムに入れるんだ。
でも、おかしいよね。玄関には鍵が付いてる。そして、俺は鍵を付けていた。家には俺一人。
一体誰が開けたんだろう?
というか、そんなことより……いや、家の鍵が開いたことはそんなことではすまないけど。
それより、どうすんのこれ?美鈴が怖くてずっと顔伏せてるけど。
「ねえ海斗」
「…………はい」
「エイプリルフールでしたー!」
美鈴が俺を真似る。全然似ていない。
本来なら笑うところ。
でも、笑えない。
背中から冷や汗が滲み出る。
心臓がバクバクと暴れる。
「……すみませんでした」
俺は土下座をする。床に額を擦りつけて。
「どうして謝るの?」
「え?」
思いもよらない言葉に俺は美鈴の顔を見上げる。
「だって今日はエイプリルフールだもんね。わかるよ。海斗も騙したかったんでしょ?良かったね、私を騙せて。うん、騙されたよ。私本気で騙された」
あはは、と壊れた人形のように笑う美鈴。
目は笑っていない。
……もしかしたら、俺が壊したのかもしれない。いや、壊したんだ。
美鈴は俺のことが好きだった。
そして、今日俺に告白されて、感極まっていたところで嘘告だと言われる。
……うん。誰でも傷つくわ。
「……違うんだよ美鈴」
「え?何が違わないの?言ったよね?エイプリルフールでしたー!って」
はい、何も違いませんでした。
美鈴が怖くて思わず出そうになったけど、とっさに喉の奥に流し込む。
「恥ずかしかったんだよ。急に照れくさくなって、思わずあんな酷いことを言ってしまった。本当にごめん。でも、美鈴に言ったあの言葉に嘘はないよ」
最低だとわかっている。でもこれからちゃんと一人の女性として見るから。元に戻ってくれ。
「……そうだったんだ」
ふぅ、良かった。いつもの美鈴だ。
「そうだよね。私と海斗は小さい頃から結ばれる運命だったんだよ。当たり前だよね。さっきはびっくりしたけどわかってたよ照れ隠しだってことは。怒ったふりしちゃった。エイプリルフールでしたー。なんちゃって。それで、私たちってもう恋人だよね?あ、夫婦でも良かったんだけど、恋人から始めよう?それから、海斗には少し悪いけどこれからは私の部屋から出ないでほしいんだ。だって、他の女の匂いが着くでしょ?私、そんなの耐えきれないの。だから、私の部屋にずっといて。高校は行かなくて大丈夫。高校だけじゃなくて大学のことも大丈夫だからね。全部私がやるから。一生養ってあげるから。だから一生傍にいて」
あれ?まだ壊れてるんだけど。それに、いつの間にか恋人になってるな。
……最後らへんはさすがに嘘だろう。
美鈴もエイプリルフール楽しんでるんだな。
―――――――――――――――
未だにエイプリルフールを引きずっている男です。
日が経つにつれて、次話投稿するのが恥ずかしくなっていく。
面白かったら星をお願いします。
もう少し続きます。
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