嘘告 学園一の幼馴染ver

 沙織に嘘告をしてから、数分間告白の余韻に浸っていた。

 嘘だというのに心が未だにドキドキしている。


 そろそろ2人目行こうかな。

 なんて言ったってエイプリルフールは今日だけ。時間はあまりない。


 2人目は幼馴染の美鈴みすずにしようと思う。

 美鈴は学園一の美少女と呼ばれている。実際にそれ程可愛い。

 月に10人以上の男子から告白されている。でも美鈴は誰もオッケイしない。

 美鈴曰く、「ずっと前から好きな人がいるから」とのこと。


 まあ、そんな情報はどうでもよくて。


 美鈴とはずっと一緒にいた。小学一年生から。

 もう美鈴とは親友であり、家族とも言える。

 そのためか、俺は美鈴に恋愛感情を抱いていない。それはたぶん美鈴も同じだろう。

 だから嘘告したとしても笑って赦してくれるだろう。



◆◇◆◇◆◇



「今、いるかな?」


 実は美鈴家は俺の隣なのだ。

 俺の部屋の窓を開けたら目の前に窓があるんだけど、そこが美鈴の部屋だ。

 たまに窓を開けて話したりする。


 沙織の時はLIMEだったけど、今度は直接言おうと思う。

 そのほうが凄いドキドキを得られそうだから。


 まあ、いないならLIMEでいいけど。


 俺は部屋の窓のカーテンを開ける。


「うわっ?!」


 ちょ、待って!まじで心臓止まったから!!


 カーテンを開けた先に、黒髪ロングヘアの少女がいた。


 予想外すぎた。まさかカーテン開けたら美鈴がこっちを覗いていたなんて。


 たまたま?たまたまだよね??


「どうしたの海斗?」


 窓を開けると美鈴が首を傾げて尋ねる。

 ……俺が聞きたいんたけどね。どうして俺の部屋を見てたの?


 ま、いっか。


「えっとさ、あんまり大したことではないんだど」


 少し前置きする。


「好きだよ」


 ただひと言。


 うわ、目の前で告白するのってこんなにドキドキするんだ。


「……え?」


 美鈴が驚いている。

 それもそうだろう。美鈴からしたら家族に告白されたの同然なのだから。


 よし、これぐらいでいいだろう。

 ネタばらしをしよう。


「そっか、私も海斗のこと好きだよ」

「エイプリルフールでしたー!」


 声が重なる。

 互いの視線が交わる。

 無言の数秒。


 て、天気がいいなぁ。


「……は?」

「ひぇ」


 かつて見たこともないくらい怖い表情をする美鈴。


 ……どういうことだろうか?


 俺が好きだと言った。

 そしたら、美鈴も俺のことが好きだと言った。


 あぁ、なるほど。

 美鈴は一瞬で俺の嘘告を見破り、それに乗ったってわけか。

 あははっ、頭良いな美鈴は。

   

「ちょっと待ってて。今行くから」


 美鈴が笑顔を浮かべる。

 瞳からハイライトを消して。


「……はい」


 怖い。逃げたい。

 でもさ、家が隣だから。






――――――――――――――

エイプリルフール終わったのに何書いてんだろ……


面白かったり、続きが気になったりした方は星を押してくれると嬉しいです。


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