第19話 支配する者、現る

零時 マズいかもしれない。

零時は何かを察知したかのような顔をしてギルドメンバー全員にコンタクトを使った。


皆、聞こえるか?空の変化に気付いた者達がいたら、すぐに本部へ転移しろ!

もしも、戦闘になるような場面になっても絶対に戦うな!

今は詳しくは話せん!良いか?廃校ではなく、本部へだ!

スノー、お前が一番に行け!それと、俺は飛ばすな!

連絡は以上だ!


美羽 いや、アタシは零時といるよ。スノーちゃんに言って!アタシも呼んじゃダメ!って。


零時 いや、もしもアレなら美羽は居ない方が良いんだ!


美羽は零時の腕を摑んだ。


そして、雷の落ちた場所からは爆発音も聞こえてきた。


生徒の1人がスマホを手にして叫んだ。


おい!これ、見てみろよ!


スマホの画面には、速報と書かれたニュース番組がやっていた。


キャー!イヤー!


皆さん!これは映画でも作り物でもありません。現実の新宿です!


早く!早く!避難をしてください。出来るだけ遠くにです!


リポーターから緊迫した様子の映像が流れてきた。


ヘビのように長い体をしたビルと同等くらいある大きなムカデのような生き物が、羽根をばたつかせて空を縦横無尽に飛び、牙が付いた大きな口で人を食い、無数の足で逃げる人を捕まえている映像が流れていた。

リポーターの女性も息を切らしながら、ビルとビルの間の狭い路地に逃げて、撮影を続けていた。

皆さん!今まで、そこで楽しそうにお買い物をしていた人々が、次々に血を流して!

レベルが違います!も、もう、人の形を留めていません!アタシも逃げながら、少しづつ状況はお伝えしますが、早く!避難をしてください!ぜ、前代未聞です!


うわっー、エッグ~!みろよ、スゲーぞ!これ。体が半分になってやがるよ!血がスゲー!


零時 ちょっと行ってくる!


美羽 えっ、いや、待って!アタシも!


美羽が零時の手を摑んだ。


そして、その巨大な生き物の前に転移をした。


零時 おい!ここの人間はいずれ、俺の部下になる。殺すんじゃねーよ!

美羽~、どこかに隠れててくれ!


零時が魔剣を手にして立ちはだかった。


美羽 じゃ、じゃ、説明してよ!あれ、何なの?魔界のモンスターとか?なの?


零時 以前、話していた天使だ!


美羽 は?天使って白い羽根で頭に輪っかがある人じゃん?あんなの、全然、違うよ~!だって、あれ、虫だよ!どう見ても巨虫じゃん!


零時 いや、あれが天使なんだ。この世界の人間が、どう伝えてきたかは良く知らんが。

とにかく、隠れるんだ!

あれは、俺がやる!










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