第5話「妾(わらわ)は神様じゃい!」

 というわけで、俺はブラコンの義妹、大石澪に抱き着かれてしまったのだが……お風呂に入っている中であることに気が付いた。


 なぜか、だ。本当に何故か、なぜだかかんだかぐーるぐるで全くと言っていい程だった。


 だから何を? そうそう、僕は妹の乳首まで見てしまって変態紳士の社会の窓をおっぴろげてしまった気がするのだが————ってすみません。本題の方に行きましょうか。


 とにかく、俺が気付いたことは俺の事だ。


 あのお願いをしてしまってからというもの、正確にはお風呂に一緒に入ってから――まったくと言っていいほど義妹みおの体で興奮しなくなっていた。

 

 いやはや、不思議も不思議大不思議。


 今までの俺ならば澪の下着姿を見るだけでも鼻血が出て貧血になりかけていたほどに興奮不可避だったというのに、昨日のお風呂の時間はただただ体を洗うだけで特に何も思わなかった。


 それに加えて終始デレデレな澪になんとぶちかましていいか分からず、最初から最後までやられっぱなしで何もできなかったのだ。


『お兄ちゃん! 背中流してあげるよぉ』


「うん、お願い!!」


『あれ……お兄ちゃんのあそこ立ってない』


 少しげんなりした表情で呟く澪。

 

「あはは……いっつもならびんびんなのにね!」


『もしかして、お兄ちゃんって私の事嫌い?』


「まさかぁ! そんなことあるわけないでしょうがぁ~~」


『じゃあ立たせて!!』


「いやんっ! 澪、駄目だよっ、そこはでりけぇーっとぉおおおおお」


『いいから興奮してぇ~~‼‼』


「あぁぁぁんnっ‼‼」


 本当に騒がしく、なんとも大興奮しそうな雰囲気の流れだった。しかし、俺の心はまったくと言っていいほど踊らない。まるで本当の妹とお風呂に入ってる気分で全然そそられもしなかった。


 デレデレ、もはやエロデレかもしれないけど……とにかく熱烈に激しい澪に比べて俺の方はまったくと言っていいほど冷静だったのだ。


 そんな、おかしな体が怖くなり――今しがた昨日祈りを捧げた神社に来たのである。

 

 まさか本当に妹を何とも思わなくなるなんて思ってもいなかったが今更って感じだ。いっそのこと澪とのハッピーエンドだってあったというのに、なぜだか悲しい気分だ。


 そんな僕の前を可愛い保育士さんに連れられて街を探検する幼稚園児たち。


「はぁ」


 いっそのこと僕も幼稚園から通え直せないだろうか。あの可愛い可愛い保育士さんに怒られることが出来れば本望だ。いっそのことエッチスケッチワンタッチでππに触ってみるのも最高だ、よし、それも願っておこうか!





 というわけで、一連の流れを始める。


 賽銭に五円玉を頬り込み、二礼二拍手してから祈りを捧げる。


『どうか元の生活をできるように戻してください!』


 念じて念じて念じまくる。


 すると、その時だった。


「妾を呼んだかのぉ?」


 変な言葉を話す参拝者もいるもんだなぁ……おっと、そんなことよりもしっかりと念じなければ、神様はすぐそこにいるんだしっ。あぁ、いっそ、この可愛い女の子の声の元を頂くのもありかも! って……神様目の前にこんなこと言ってたらバレちゃうね!


 しっかり念じよう!


「お主、バレてるぞ?」


『バレてはございません』


「おいおい、そんなの祈っても無駄じゃけどのぉ」


『何を言っているのか分かりかねます』


「ははっ、じゃあ、妾は天界に帰るとしましょうかっ、かかっ‼‼」


 ん?

 ふと、自問自答に入る。


 誰だ、さっきから俺の心の中を呼んでくるエスパー少女は? ハッとして目を開けると俺の目の前には仁王立ちしながらウインクをしている小さな小さなロリっ子が俺の方を見つめていた。


「え、神様」


 思わず、声が漏れる。

 しかし、そんなシンプルな質問に彼女は答えた。


『妾が神様じゃよ!! かかっ‼‼』


 金髪碧眼、ついでにロリっ子ぺったんこ! 

 あきらかに天才留学小学生のメアリー風な自称神様が俺の目の前に現れたのだった。

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