第3話「変態紳士、神に祈る」
翌朝、1コマ目の講義が終わり、図書館に向かう地味子を引き留めた俺は
「ごめんなさい無理です。変態紳士さんっ」
「ふぁ!?」
まさかのまさか、俺が「今度学食一緒に食べない?」と誘って開口一番の言葉だった。何が無理なのか、俺にはさっぱり理解不能、ただただ一緒にご飯を食べたいと言っただけじゃないか。
って……ん?
彼女は今なんて言った。
へんたいしんし……俺が、変態紳士だって!? そんな俺の心の中でしか言ったことのなり言葉を何で知ってる!?
「知ってますよ、学食で昨日話している時にバンバン聞こえてきましたし」
「んな!?」
「私、少しあなたの事が気になっていたのに……ちょっとだけげんなりです」
「——さ、さいですかっ⁉」
「さいですね、はい……ということで、では」
そんな日の午後。
俺の方はあっさりと負けてしまった。
まったく、些か俺の煩悩には呆れるなぁ……なんて考えながら片手間で最近の芋っ子セクシー女優について検索する。結局、チンの方は上手く言ったらしく、俺よりも一個上のステージに登ったらしく、今後は手つなぎから始まり、いずれエッチなことまでゴールイン! って感じらしい。
まぁ、そのことについては勝手にお幸せになってほしいってなことだが少々悲しくも感じる。
結局のところ、俺にはツンツンデレデレな義妹しかいないらしい。いっそのこと、恋愛をするのは諦めて、血のつながっていない妹と一緒の未来を描いていく方がいいのではないかとも感じられる。
ただ、あいつには――しっかりと人を好きになってほしいからな。
俺も真っ当な恋愛をしたい。変態紳士としてではなく。
ちょっくら、神社にでもお祈りしにでもいくか……。
今日は講義が4コマまでしかなかったので、俺はそれが終わり次第神社へ向かった。ところで、関係のない話かもしれないが4コマ目に受けた講義は教養科目の「古典の解説」という楽な単元、所謂楽単ってやつだった。
まぁ、最後の講義で感想レポートを出せば不可、可、良、優、秀のうち優はもらえるという単元のため人が多く、例年抽選になるのだが俺はそこを突破した身。選ばれた存在である。
今日開設したのは光源氏のお話で、塀の隙間から中にいるロリっ子を愛でるきもい男が——てな感じだったのだが、ほんと羨ましい。俺もその時代に生まれられたらどんなに良かったことかと考え仕舞うくらいだ。
それに、光源氏ってなんか発音がエロいし、
「今度、チンにでも教えてあげよう!」
————てな感じで、数分歩いていくと近所の稲荷神社に到着した。
鳥居をくぐり、そのまま賽銭箱まで。
「こういう時は五円って言うよね」
あまりそこら辺の作法はよく分からないため、よく聞くお金を投げ入れる。二礼二拍手、そして心の中で念じる。
『シスコン癖をなくし、真っ当な恋愛が出来ますように』
特段何があるわけなく、俺は鳥居をくぐって帰路に着いた。
にしても、この判断が今後の妹との関係をより深々とすることはこの時の俺は知る由もない。この後、妹もこの神社で「素直になれますように」と祈ってしまったことに気づくわけもなかったのだ。
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