第1話「第一回緊急兄妹会議」
「というわけで、第一回緊急兄妹会議を開きます。では、被告、入場っ」
「誰が被告よ!! だいたい、さいっしょからいるんだけど!! 馬鹿お兄ちゃん‼‼」
その日の夜。
俺たちは風呂に入り、身を清めてからリビングのテーブルに向かい合って腰かけた。
おっと、勘違いしないでほしいが俺と澪は一緒に入ったわけではない。
まあ同じ湯船には浸かったから実質一緒に入ったかもしれないが……それに残り湯でどうのこうの変態でもない。
建前は置いておいて本音は見たかった。
ただ澪も反抗期だ。お兄ちゃんの事を嫌いと言いたくなる年なのだろう。
そのくらい俺も知っている。できたお兄ちゃんだからな。
うん、お兄ちゃん。澪にもいっぱい言ってほしい。
「——んで、にしてもなんであんなことしてたんだ? もしかしてお兄ちゃんの事、そこまで好きだったのか?」
「す、すすすすs……す、きなわけっ――!」
「またまたぁ~~、俺のパンツ握ってたじゃないかぁ~~」
「ち、違っ————!! あ、あれは……」
中々妹罪なもんだ。何か否定しようとしていたが、すぐに出てこないのか口を無ギュッと噤んでいる。
「あれは、何?」
「……ち、違うもんっ」
結局何も出ずに諦めていた。まったく、お兄ちゃんのパンツをとって自慰に走るなんてなかなかできる事ではないというのに。
まだ俺たち二人が本当の兄妹でないのが救いだった。
本当の兄妹ではない、義理の兄妹なら何をしてもOK! なんていうジャンルを最初に作った天才に感謝でもしておこう。
とはいえ、俺にとってはよくとも澪がそんなことをするのは色々と考え直さなくてはいけない。
こんな俺でもクラスには好きな女の子がいるのだ。
「証拠はいくらでもあるから、白状してくださいっ」
「は、白状って……ほんとに違うし……絶対!」
「顔が真っ赤だよ?」
「真っ赤じゃないもん!」
あらまぁ、ここまで言っても認めないのは悪い子ですね。そんな子にはお仕置きしちゃうぞ。
「じゃあ、俺も澪のパンツでしちゃおうかなぁ」
「うがっ——や、やめてよ!!」
「でも、澪は洗濯籠から漁ってきたんでしょ? 俺がご飯を作ろうとしている時に……」
「そ、そんなこと……うぅ」
そう言えば今更かもしれないが、確かに俺が台所に言った時に廊下を横切って澪が風呂場に行っていた気がする。
「俺は知ってるんだよ?」
最後の一振り。
もの凄くもぞもぞとしながら恥ずかしそうに頬を紅潮させて、数分後。
「ごめんなさい……」
半分涙目で俺の腿にしがみつく。かれこれ会議を始めて10分ほど。我らが義妹の澪は認めた。
「まぁ、全然大丈夫だけど。お兄ちゃんとしては澪は嘘つきになって欲しくないからね、やってしまったことはちゃんと謝ろうね?」
「……うん」
「よし、それじゃあご飯でも食べちゃおうか?」
「っ」
コクっと頷き、俺たちはカルボナーラを食べることになった。
そう言えば、もうすぐ澪の誕生日だし、せっかくなら俺のパンツでもプレゼントするのはどうだろうか。
案外喜んでくれるかもしれないな。
ちょっくらお兄ちゃん、頑張っちゃおうかなぁ(^^)
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