第6話40歳 パーティのお荷物にはなりたいくない

「冒険者登録が受理されました。こちらは銅級冒険者の照明である指輪です。お確かめください。」

トレーの上に置かれたブロンズのリングを受け取る。

かなりしっかりとした出来で中にはイカゴ・ナオの文字が掘られている。

それを右手の薬指にはめた。

魔術組合にて推薦をもらうことによって本来規則である年齢制限を解除してもらい

晴れて冒険者になることができた

推薦でもう少し上位の級が与えられるかと思ったが冒険者は結果主義らしく、

誰しも等しくモンスター討伐や遺跡探索等で成果を上げないと上位級への進級は認められないのだそうだ

冒険者組合の級は上から

ダイヤ級

パール級

ゴールド級

シルバー級

ブロンズ級

と全部で五つある

その中でもダイヤ・パール級は別格で依頼の難易度が跳ね上がるが

報酬も高くある程度の権力を持ち合わせることも可能らしい

現在16歳で15歳の時すでにパール級へと進級できていたシャーロットはかなりの天才だと言うことが改めて理解できた。

ちなみにフィーナも俺と一緒に冒険者組合に入るのかと思ったが彼女はすでに魔術組合に参加しており推薦を受けていない以上パーティではなくボランティア的な形になるらしい、つまりはモンスター討伐をしても冒険者組合からは報酬がもらえない。

その代わり魔術組合にて魔術の評価査定にプラスが入ったり手間賃も少しだがもらえるらしい

いまだに冒険者組合と魔術組合との関係がややこしくていまいちわからない

まぁどちらにも所属することができたんだし二つのいいとこ取りで良い思いが

できそうだ

とりあえず肩慣らしというかパーティとしてどこまで戦えるか試すことになった

依頼ボードに所狭しと貼られている紙を眺めるが文字はよくわかっていないので

細かいことはわからないが大体の依頼には主目的の絵が描かれているので

大雑把に把握できた

中でもゴブリンと言われるような見た目をしている絵が描かれた依頼書は

何十にも重なっていて多くの被害が出ていることが目にとれた

難易度も高くないようで何人かの初心者冒険者とみられる若者たちがその依頼を

受けて行った

まぁこれでいっか

一枚の紙をボードから引き剥がし冒険者として経験豊富なシャーロットのもとへと持っていく。

「選び終わった?  ふーむゴブリンかー。ゴブリンは部族単位で動くことが多いしパーティとしての初戦としては一番いいかも! じゃあ受けてくるね!」

やっぱりあれはゴブリンだったのか

流石にポピュラーなモンスターみたいだし無知を晒さなくてよかった

そのまま組合に設置されている休憩スペースの椅子へと目線を流す。

そこには不機嫌に顔を歪ませたフィーナがいた。

はぁ 魔術組合を出てからずっとあんな調子だな このままで大丈夫だろうか

啖呵切った後だし戻りづらいんだろうな〜

意を決して近づいて話しかける

「なんか用?」

「いや 本当についてくることになってしまったけど大丈夫かなって。

無理してない?」

「どうせ攻撃系の魔術使いとして戦闘に出ることは覚悟してたわ。

実際『死泥へと招く者』への討伐には参加したし。遅かれ早かれこうなる運命だったのよ。別にそう気を遣わなくたってあなたのせいだなんて思ってないわ。」

あれっ俺のことを恨んでたりするわけではないのか よかった

共同で目標を目指すときメンバー同士の不破はかなりの痛手を追うことになることが

多いから今のうちに和解することができて安心した

「まぁまだあなたを認めたわけじゃないけどね」

そういう一言をぼそっというのはやめてほしいな

おじさんからのお願いだよ

「依頼受けてきたよ〜お昼用の携帯食を買ったらすぐ出発だ〜!」

やっとこさ俺の異世界冒険は始まるようだ


王都出立→主要都市→村→近くの林

<村近くの林>

うーんマジで疲れた

依頼の場所に着くまでまる二日近くかかってしまった

夜は野盗やモンスターに狙われやすいので野営した際には

交代交代見張ることとなったがそれもかなり緊張した

やっと村に着いたので全身をゆっくりと伸ばしてコリをほぐすことができた

村自体はかなり小さく至って平凡だ

だが冒険者はかなり珍しいのか何人かの村人村長も合わせて

挨拶に来てくれた

うーん考えれば考えるほどこの依頼は全然報酬に見合ってないな

交通費や討伐の際かかる諸経費は全部こちらもちだ

ゴブリン討伐が銀貨3枚で経費が銀貨2枚

残った報酬を山分けとして銅貨30枚とちょっと

ゴブリンは数は多いし出没場所も王都からかなり離れてて

ゴブリン討伐よりも時間がかる

だからゴブリンも幅を利かせているのか

まぁ今回はあくまでパーティの練度上げだ

採算は度外視でも構わないだろう 俺にはまだ装備品を買ったっと言っても

金貨は35枚程度余っている

食事も銅貨3枚宿泊は銅貨30枚程度だししばらくは金に困らず

じっくりと戦っていくことができそうだ

しかし未開拓の林ということもあってか中に入ればかなり暗いし

足の踏み場も悪い奇襲攻撃を受けたら危険かとも思ったが

そこまでの知能はゴブリンにはないらしい

かなりの大声で2体が歩いているのをすぐに見つけることができた

現実世界でもクマに襲われないためには大声を出すのが効果的らしいし

ああやって大声を出しているのもおそらく何かしらの意味があるのだろう

こちらからすればいい的だが

その場で俺たちは一旦村へと戻った

どうやって戦闘を進めるかの作戦会議だ

自分より年下の女の子が前でモンスターと対峙するというのは

かなり心苦しいが実際にはシャーロットの方が戦闘経験もあり

俺の何倍にも強いと思うのでその作戦に意義を立てたりはしなかった

後衛は俺とフィーナだ

第2階位の魔術を交互に打つことになったが自分の魔術の本に書いてある文字もわからないので手当たり次第になりそうだ

第3階位の魔法はかなりの威力を誇り魔力もかなり持っていかれるのでこの場では

禁止となった

「じゃあいくよ!」

そう言ってシャーロットがいつの間にか合流したのか4体へと増えていたゴブリンの群れへと奇襲攻撃を仕掛ける

シャーロットが短剣を抜き瞬く間に1体の体を切り裂き次のゴブリンへと標的を変える

「フレイムウィップ」

フィーナから援護魔術が飛ぶ。

木々の間を掻い潜った鞭はシャーロットへと槍先を向けているゴブリンの足に絡みつき火を体へとともしながら大木へと打ち付ける。

俺も魔法を・・

すぐさま魔導書を開き魔術を選択

「雷槍・ロングボウ」

電気を覆った棒が一直線にゴブリンの元に向かう・・

と思ったがすぐ隣の木へと吸われ霧散する

ゴブリンの背が低くきが避雷針となってしまったようだ

ならば次こそはとファイアーボールの構えをしたが

すでに目の前では蹂躙されたゴブリンの死体が転がっていた

そして息を全然切らさず返り血も1滴も浴びていないシャーロットが

軽い足取りでこちらへと歩いてきていた。

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