第5話40歳異世界で職にありつく
・・・最悪な朝だ
シャーロットと宿でお泊まりに胸を膨らませいざ宿に向かうと
部屋は別々だった
まぁ当たり前か そもそも一人部屋しかないようだし
少しでも期待した俺がばかだった
それよりも気になったのは虫だ
ダニシラミは当たり前でG(大型)も床を這う姿を何度も見かけた
身体中至る所が痒いしベットも硬くなかなか眠りにつくことができなかった
日本の清潔さが早くも懐かしい
シャーロットに聞いたところ虫除けの香をたくのが効果的らしいが
そもそもそんなことを気にする方が珍しいのかもしれない
髪の毛とかにもわいたりしていないかガシガシと頭をかく。
朝食を取った後 かなり周りから浮くスーツはやめて
シャツと長ズボンを買って着た。
肌触りは良くないがしょうがない くつもできるだけ履き心地の良いものに変えた
「服も無事に買ったことだし、昨日行った魔術組合に行こうよ」
「魔術組合ってどんな場所なの?」
「私もマジックアイテムを買うときしか寄らないからいまいちわからないけど
とっても大きいよ!!あと、頭が良さそうな人たちがいっぱいいるの!」
身振り手振りで表現するシャーロット・・可愛い
フィーナも魔法使いとか言っていたしそこにいるんだろうか
<魔法組合>
デケェ・・・家というか 学校だな
建物の大きさも冒険者組合とは比較にならないほど大きい
区間ごとに切り分けられているし魔法が飛び交う校庭も見える
そんな中に見知った赤い髪があった
「何してるのこんなところで。密偵でもしにきたの?」
「いやだから違いますって」
「なら私のストーカー?キモッ」
グサ
そこには魔術本?を持って訓練をしてるフィーナがいた。
「あっフィーナさんだ。こんにちは!」
「あらシャーロットもいたの。こんにちは組合になにか用事?」
うーん明らかに俺に冷たい気がする
シャーロットとは普通に会話できてるのにこちらを見るときは
ゴミでも見るかのようだ
「ナオに推薦がもらえないか聞きにきたんですよ」
「いつの間に呼び捨てにする間柄に?シャーロットに何かしたのこの変態は」
おーっと変態にジョブチェンジしてしまったようだ
流石に昨日今日で手を出したりする童貞でもないのだが
「それに推薦?あなたが?もらうことなんてできるわけないでしょう。」
「というか推薦って具体的にどんなものなんですかね。よくわからないままついてきちゃったんですけど。」
「そんなことも知らず推薦をもらいにきたの?はぁ、、、説明してあげるからちゃんと聞いてよ。いい?推薦ってのはね魔術組合から出されるいわゆる身分証みたいなものよ。冒険者組合と魔術組合は国家の枠から外れた組織で、家を借りたり研究資金を借りたりするのにかなりのハードルがあるの。特に魔術師は研究熱心な人が多いから生活面でよく苦労するわよね。そこで魔術組合は将来的に有望な結果を出せる者に魔術組合公認の身分証を発行しているの。推薦身分証を発行してもらうことができれば
どこの国でも特別な優遇措置を受けることができるわ。冒険者組合との掛け持ちとかも有名な例ね」
魔術組合公認身分証か・・
冒険者で言うと階級による区分のようなものか
「推薦を受けることができる条件はいくつかあって
1、魔術学校で優秀な成績を収める。
2、論文が認められる
3、魔術能力に秀でている
とかが基本になるわね。推薦で最も素晴らしいところは賄賂が通じないってことかしら。金持ち貴族の息子でも忖度されないわ。まぁどれにしてもあなたじゃ推薦は受けれないでしょうけど。というか私だって受かってないし」
確か『死泥へと招く者』討伐のために組まれたパーティは実力派揃いだったはず・・
そのメンバーに選ばれたフィーナですら受けれないのか
これはかなり厳しいかもしれん・・
「そういえばナオってどんな魔術が使えるんですか?いやだったら良いんだけどよかったら教えて!」
あれっそういえば俺ってどんな魔法が使えるんだ?結局なんだかんだで自分の使える魔法がよくわかってないな
「よく・・・わかりません」
「はぁ!?そんなことないでしょ自分の使う魔術よ?どこで勉強したらそんなことになるの? 生まれなが魔術を使うことができる種族・・でもなさそうだし まぁいいわ。推薦テストを受けるならどうせわかるでしょうし。」
やっぱり推薦をもらうにはテスト受けないといけないのか
いやここで無双レベルの魔法を放って「俺何かしちゃいましたか?」
それが異世界転生の醍醐味だろ
そしてすごいすごいと人がわらわら集まってきて
俺を胴上げするんだ 勇者だ英雄だと
そのあとは可愛い子を嫁にもらって余生ライフか・・楽しみだ
いやこの世界で自分の実力が未知数な分練習したほうがいいのか
たとえ1部分がすごくても他の面で恥をかくことになるかもしれないな
やはりもう少し練習してから受けたいかn
そんなことを考える暇なくフィーナに腕をがっちりとつかまれ室内へと歩かされる。
うぉめっちゃ良い匂いが・・・・・
っっっっっ臭っっっっさ
焦げ臭い匂いと薬品の匂いが混ざった感じがする
その刺激臭のせいで正直目が痛い
おかげで揺れる胸へと視線を注ぐことはできなかった。
<学長室>
「というか急に来て大丈夫なのかな。アポとか・・」
「アポ?約束なら私がお話を通してますよ」
シャーロット見かけによらず仕事ができるな
さすが天使
というかここ学長室だろ?これから入るってことは学長と会うわけで・・
この広い組合を管理してるらしいしそんな人にすぐに会う約束を取り付けることのできるシャーロット・・恐ろしい子!!
「失礼しまーす」
大雑把にドアをバンと開けるとかシャーロットに比べてフィーナは
常識ないんですかねぇ 面接だったら絶対1発不合格だ
「きちんとノックをしなさいフィーナ」
学長室とあってかなり大きな部屋かと思いきやかなりこじんまりとした部屋だった。
部屋の小ささのせいか魔術の本や道具と思われるものがあちこちに散乱している。
しかし異質さだけは感じ取れた。まず壁中に魔法陣があり回らされいくつかの何に使うかもわからない道具が空中に浮いて固定されている。
だがそんなものよりも異質で目が離せないものがあった。
鏡に映った俺・・・
いや俺の顔をした胴体が異形の者へと目は釘付けになっていた。
しばらく放心していると
「いや申し訳ない。驚かせてしまいました。」
そう言って異形の俺が立ち上がる。
「初めまして。魔術組合王国部の学長を任されている、
ムーンアイのルナティと言います。本日はようこそお越しくださいました。」
ルナティが手を顔にかざし撫でるような仕草をすると俺のかをが消えそこには大きな一つ目をした女性の顔が出てきた。
「これが私本来の顔なのですが、我が種族であるムーンアイという種族は魔力に影響を受けやすく、魔力の強い御仁のそばでは体の一部がその方の見た目に変化してしまうのです。ルーンアイ族はかなり希少でよく見た目で驚かれることが多いのですが、まさか顔が変身してしまうとは思いませんでした。」
驚いた・・そんな種族がいるのか
自分の顔をしているのにも驚いたが一つ目にもかなり違和感がある
人間よりも目の大きさが2回り3回り以上大きい
それ以外にも腕が四つ生えておりそれぞれが特徴のある形になっている
それも魔力の影響なのだろうか?言い方は悪いが人型のキメラのようだ
「『死泥へと招く者』を一人で討伐したとシャーロットさんから聞き及んでいます。
フィーナは過大評価と言っていましたが、真実のようですね。私にも変化を与えられるほど魔力を保持しているようですし。」
「でも学長!こいつ自分の使う魔術すらわからないとか言ってるんですよ何かの間違いじゃないですか?」
「自分の使う魔術がわからない?魔力はかなり大きいようですし魔法を使うことができるとかですか?」
「魔術と魔法って違うんですか?」
馬鹿正直に聞き返してしまった
「えーっとですね魔法というのは組合で言う第3階位に当たる魔術のことを言います。第2階位までは基礎があり、才能有り無しが関わらず習得することができこの学園でも教えていますが、第3階位は個人の魔術、つまりは個人個人によって習得できるかどうかが変わります。それにその人によって操る形・属性も違いますし規模や発動の難易度、習得方法も人それぞれです。例えばそこにいるフィーナは一つだけしか使うことができません。」
「ちょっとそれだけは言わないでって約束したでしょ!学長!!」
へぇそんな分類の方法があったのか
でも魔法なんて使ってたかなぁ・・・
(炎剣・魔炎両断)
あーあれか 明らかにファイアーボールよりも火力があったし後の疲れもあった
ファイアーボールしか使えなかったらと思うと身がブルリと震える。
「使える魔法がわからないと言うのなら特別にそれを判別する魔道具があるのでそれを使ってみてはいかがですか」
ルナティが四つのうち枯れて黒くなっている腕を振ると山積みの本から1冊の本が俺の腕に飛び込んでくる
「開いてみてください」
言われるがままに本を開く
何も書いてない?
中は白紙で一つも文字が印刷されてないからかわれているのか?
するとページが次々と捲れ一番最初のページへと戻る。
そして焼け焦げた匂いとともに文字が次々と紙に浮き上がってきた。
そんな光景が最後のページまで終わるとフィーナが横から本を奪い取ってくる
ペラペラとめくってみたあと学長へと手渡される。
文字が俺には読めないため内容がすごいのかすごくないのかすらわからない
「驚いた。第2階位までは攻撃系統をほぼ全種。魔法を10種も使えるなんて・・・それにunknownがかなり多い。
将来的にも魔法を覚える可能性が高いのでしょうね。これなら推薦を与えるのに私は反対ありません。」
「やりましたねナオ!!」
「絶対おかしいわこんな奴が推薦なんて!」
よくわからんが推薦はもらうことができるらしい
魔法テストは受けなくてもいいのか
いいのような悪いような・・
しかしよかった
身分証をもらうことができればかなりの高待遇を受けることができるらしいし
ビザ的な関係もOKなのではないだろうか
どっしりと構えて嫁を迎えることができそうだ
「我が魔法組合による推薦確かに調印しました。受け取ってください。」
推薦状って紙媒体なのかと思ったが小さなピアスだった
魔法的な輝きを放っており小さくてもかなり明るく赤い。
「それをつけていればどこにいても魔法組合の保護を受けることができます。
ただし権力を濫用するようであればすぐに没収されますので気をつけてください。
あと組合が招集をかけた際には必ず応答をしてください。」
「納得できないわ!!」
ルナティの前の机をバンと叩いでフィーナが抗議する
「あなたの納得は必要がありません。推薦の授与する権限は私に一任されています。
そもそもあなたは魔法を一つしか使用できないではないですか。ちょうどいい
ナオさんが冒険者となって旅をするようですしあなたも夏季休暇の間ついていって魔法を教わってみてはどうですか?何かいい経験になるでしょう。それともまだモンスターが怖いですか?攻撃型の魔術使いでありながら。それならしょうがないでしょう
学園でもうしばらく学べばいいですから。」
「怖いわけないでしょ!いいわよ!この変態野郎についていきます!!
この学園に戻った暁には学長を膝末かせて見せます!」
そう言ってフィーナはドアを蹴って出て行ってしまった・・
えっフィーナついてくるの?
シャーロットたんとの二人旅ができるの思ったのに・・
まぁいっか
シャーロットたんとうまくいくとは決まってないし
少しでも”何かある可能性”が高いほうがいい
これから始まる冒険が楽しみだ
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