第3話40歳でも冒険者になれますか?

なんだほおが痛い

足もなんだがジンジンする

目を開けるとそこには金髪の美少女がいた。

天使・・いや女神!!

「よかった。無事目覚めました!」

少女は振り返りモンスターの死骸を確認している仲間へと声をかけた。

彼女はたちはだれだろう

彼女の仲間と思われる若者は三人いて順々に話しかけてきた。

「しかし爺さん運が良かったなもう少しで奴らの仲間入りだったぞ」

先程の少女よりくすんだ金髪をしている少年はどうやらリーダーのようだ。

他の三人よりも全体的に装備が重厚で派手だ

というか爺さん?俺はまだ40だぞ

せめておっさんだろ

よく周りからは30前半に見えると評判なんだが

ちなみに彼女はアスナに似ている

彼女なんていませんでした

「そこまで重症ではないようです手当も済みました。他に違和感があれば

神殿の方に立ち寄ることをお勧めします。」

こっちのメガネ男子は丁寧だ

包帯を足に巻いてくれている

心なしか足の痛みは無くなったようだ

というかほっぺたを謎の痛みが襲っている

腫れているのか

「それよりこのお爺さんは魔道士かな何かなの?組合で見たことないんだけど」

機能よりも見た目に重点が入っているかのような胸元のひらけた服を着た

赤髪の女性が近づいてきた。

「『死泥へと招く者』がかなりの瀕死だった。周りの火から見ても自然発火じゃない。弱点属性を知っていて尚且つ『死泥へと招く者』を焼き切るほどの魔法を放つことができる。歳から見ても修行を積んだ魔道士?けどそれにしては装備が異色すぎるわね魔道具でもないようだし・・」

「なぁ爺さんどこからきたんだ?・・そういえば自己紹介がまだだったな。

俺たちは『死泥へと招く者』討伐任務を課せられたパーティ・・つっても討伐可能なメンバーが寄せ集められただけの出来合いパーティだけどな。ちなみに俺はレオ!

こんな見た目でも王国正規軍の隊を一つ任されてる実力派です!!

手当てしてるメガネは副隊長のワルメガ。救護術にたけてる、実際足の傷ももういえてるだろ?で、そこの姉ちゃんは魔法使いのフィーナ。魔法であんたを助けたやつだ。一緒にいた期間は短いが魔法の腕は確かだしかし性格がきつい。」

「うっさい」

フィーナの蹴りがレオのふくらはぎに入る

全然動じてないけど痛くないのかな

「そしてこっちの嬢ちゃんはご存知最年少15歳でパール級冒険者となった

スアニ・ジースコ・シャーロットちゃん。まっ俺の方が強いけど」

自己紹介もらっても名刺とか形でわかる物じゃないと1発で頭に入りづらいな

というかご存知って何?

めちゃくちゃ冒険者の間で有名なの?可愛いけど

パール級とはすごいのだろうか

彼女はおそらくパール級の印であるイヤリングを照れ臭そうにこちらへと向けてきた。大粒の真珠を核として金の繊細な飾りがついたイヤリングだった

「ところであんたの名前は?どこ出身?なんでこんなところにいたの?」

フィーナが疑わしく聞いてくる。

「五十子 成生と言います。この街には初めてきたので勝手が分からず歩いていたところをあのモンスターに襲われました。出身は遠い場所です。」

「イカゴ・ナオ?変な名前だ。服装を見るに文化が違う場所から来たのかしら。

ニジャパ語を話せるというとこを見るにある程度の勉強はしているようだし

魔法も使えるとなると放浪の旅でもしていたのでしょう。ところでなんの魔法を使ったの?」

「それが自分でもよく分かってなくて・・・」

「自分の使う魔法のことすらわからないの?呆れた、本当は王国の魔法技術を偵察に来たんじゃないの?まぁ言い訳としては最低ね。」

「ほんと違います!!そういう怪しい者ではありません。」

「ふ〜ん」

明らかに納得している顔ではない

このままスパイとして捕縛でもされて処刑されるのだろうか

俺の異世界生活も終わりか

あまりにもあっけない

「まぁまぁフィーナさん『死泥へと招く者』を倒してくれたのは事実ではないですか。謝礼等も領主や市長からもあるでしょうしここは穏便に。」

「うっさい黒縁メガネ」

「くろぶちめが・・・ね」

ありがとうメガネくんそしてさようならメガネくん

白く灰になりかけたメガネくんをわきにレオが

「とりあえず冒険者組合へ報告に行こうぜ。爺さんのおかげで楽に終わったし

さっさと王都に戻り手ェしな」

そういって自称実力派なレオは指笛を吹き馬を呼び灰となったワルメガを乗せて

街の外へと走り出した。

あれこれって俺はどうやってついていけばいいの

フィーナの方へ向くとそっぽを向きそのまま走っていってしまった。

「良かったら乗りますか?」

うんシャーロットちゃん最高!!天使・・・いや女神!!

シャーロットちゃんが馬を乗りこなすがたはまるで白馬の王子様 ちゅき

ていうかこれ立場逆じゃね?



王都 『カリーへヴァー』

「よーしもうすぐ着くぞー」

1kmほど先にここからでも見える城壁があった。

近づけば近づくほど崖かと見紛うほどだ。

壁は一切の亀裂などはなく少しゆらゆらとした光沢が壁を這っていた。

魔法か何かでコーティングでもしてるのか

そのまま検問へと向かう

「『死泥へと招く者』討伐部隊統率レオだ。任務を完了したため帰還した。」

「ようこそおかえりなさいました。組合長がお待ちです。」

「分かった」

門をくぐるとそこには美しい中世ヨーロッパに似た風情の街並みが広がっていた。

ヨーロッパには何度か足を運んだことがあるが同じ風景としても何か

心に響くものがあるな

興奮が抑えられずキョロキョロしていると

「王都初めてですか?素敵なところでしょう。後で観光してみては?」

「はい!!楽しみです。」

そいうはいうものの

「金がなかった・・」

「王国貨幣をお持ちないのですか?あっでも組合の方から謝礼金が出ると思うので

それがあれば観光ぐらいはできると思います。」

良かったー

異世界に来て王都に来てまで土木作業でもしないといけないかと思った

謝礼金がもらえるのならしばらく節約すれば生活もできるかな

「ところで冒険者って僕にでもなれますかね?」

「ナオさんは『死泥へと招く者』を倒したんですよね。なら組合も大歓迎だと思いますよ」

ウヒョーまじかこれは魔法で1発英雄になるのも夢じゃないかも

しばらくして冒険者組合に到着。

王都の冒険者組合とあってかかなりしっかりとした建築だ

煉瓦造りで中にはシャンデリアがある

中は酒場でおっさんどもが昼から飲んでるのかとも思ったが

普通に役所みたいだ

窓口には役員さんがいて依頼が貼ってあるボードを冒険者たちがウロウロしている。

奥には小部屋もあるようだ

相手側に話しが通っていたせいかすぐに小部屋へと通される。

ドアを開けた先では立派に着飾ったおっさんがいた。

貴族かな というか同い年ぐらい?

「この度はモンスター討伐ご苦労であった。」

「恐れ入ります」

ナルシズムがほとばしるレオでさえ言葉を丁寧に直してる

仕事とプライベートで切り替えができるタイプなのか

王国正規軍隊長とか言っていたのも嘘ではないようだ

「ところでそこにいる者は何者だ。」

「はっ この者は到着した際に『死泥へと招く者』をすでに討伐していた魔道士です。」

「かなり手強いモンスターと聞いていたがそれを一人でか」

じろりと目線をこちらに向けてはいるが俺が答えるのを待っているのではないのだろう。すぐにレオが返答をする

「はい『死泥へと招く者』は災害級<A>であり増殖や汚染、パンデミックを起こすことができアンデットモンスターの中でもかなり強い部類です。嘘のように聞こえるかもしれませんが我々が到着した際にはすでに『死泥へと招く者』は瀕死へと追い込まれていました。」

貴族は重厚な椅子から腰を上げ頭を下げた。

「この度私の領地である『マクルマ』の街を救っていただき感謝する。あなたのおかげで損害もかなり少なく済むことができた。また私の領地に足を運んだ際には屋敷へと来てくれ。それなりのおもてなしをさせていただく。そして少ないが報奨金だ受け取ってくれ」

そう言って貴族の男が指を鳴らすと横の執事がトレイに乗った金貨を机に置く。

「報奨金の40金貨だ。討伐に向かってくれたレオ殿含むパーティの方々には心ばかりだが1金貨づつお支払いする。」

「よろしいのですか?我々は討伐に貢献していませんが。」

「私がトドメ刺したんですけど」

謙虚なレオの横でフィーナが小言でつぶやいている

かぁ〜卑しい女たい

睨みが怖いのですぐに金貨へと目を向ける。

「もちろんだ。その代わりまた領地が危機に晒された時は依頼を受けてくれるとありがたい。」

「もちろんです。王国民に危機が迫るというのなら火の中水の中へとも馳せ参じます。」

そんな話もほどほどに小部屋から出てシャーロットについて行き窓口で冒険者登録をする。

しっかし文字が読めん 言葉が通じるからいけると思ったが文字は別のようだ

この世界では識字率はかなり低く文字が読めない人も多いようで受付嬢の方は慣れているようだ ひとつづつ文を読んでくれる

「〜〜〜〜〜ですので、、はいそこに署名を。あっところでおいくつですか。

冒険者の規約で登録ができるのは15歳から25歳までとなっておりますが・・・」

「40です」

時が止まる

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