鳥の卵は栄養豊富、親鳥には申し訳ないけどな
さて、翌日俺はまた狩りに出ることにした。
昨日の二羽の鴨はあら方食べてしまったからな。
「今日は鹿か猪が狩れて食べられるといいな」
昨日に引き続いてワンコたちと一緒に俺は山に入る。
生まれたばかりでまだ小さな小ワンコは息子にじゃれついて遊んでいる。
前に作った草を丸めたまりを二人で追いかけ回してる。
「おーい、炉の火には気をつけろよ」
「あいでし」
”わんわん”
まあ、大丈夫だろう。
子供も子犬も火が危ないものだとはわかってるはずだ。
寒い冬にはなかなか外では遊べないから、子犬は子供のいい遊び相手だ。
女のコは麻を編んだりなんだりで、着飾ったりすることもできるが、男は装飾とか割とどうでもいいからな。
さて、犬を引き連れて林に向かう。
今日は、狼の遠吠えは聞こえない、昨日は昼間に聞こえていたぐらいだから、よほどお腹が空いていたのだろう、基本狼は夜行性なのだが飢えてるときは昼間でも狩りをする。
狼の遠吠えが良く行われるのは、夕暮れ時と、狼が狩りに出発する前や帰還した後らしい。
もちろん腹減りの狼も命がけだ。
今日は聞こえないので大丈夫だろう。
俺も吠え声の聞こえる方へ走り出し、後を追いかける。
鹿は基本夜行性で、昼夜を問わず木の陰や茂みで仮眠してすごしている。
繁殖力と適応力はものすごく強いが、臆病な獣で犬や狼からはひたすら逃げる。
基本鹿は、薄明薄暮性だが狩猟期には夜行性となるので、狩りは日中の野生獣が寝ている時に行うんだ、そのほうが寝ぼけていて狩りやすいからな。
獣道や水場、泥浴びをするヌタ場、岩からミネラルがでている湯場などを鹿が集まりやすい場所の近くで寝ていることが多いからまずは足跡、食み跡の下見をしてからワンコたちと一緒に林に入る。
ワンコたちは最初はゆっくり匂いをかぎながら歩いている、が。
”わん”
とワンコたちが走り出した。
「お、見つけたか?」
俺は弓を構えて、鹿が追い出されるのを待つ。
”わんわん”
段々と追い立てられた鹿が近づいてくる気配が近づき、その姿が見えた時、俺は鹿に向かって矢を放った。
”ひゅん”
と飛んでいった矢が鹿の首筋に刺さって鹿は倒れた。
「よし、お前たちよくやったぞ」
褒めて褒めてーとばかりに尻尾を振ってるワンコの頭をかいぐりかいぐりなでてやったあと、川までを運んで喉を切り裂いて鹿の血抜きをし体を冷やして、十分冷えたら肩に担いで村に戻る、冷やしいている途中で水辺の鴨の巣から卵をもらってきた。
鴨には悪いが、卵は栄養が豊富だからな。
「ただいま、今日は鹿と鴨の卵が取れたぞ」
イアンパヌがにこにこしながら出迎えてくれた。
「あら、それならこれでしばらくのんびりできるわね」
「おう、こいつらも褒めてやってくれよな」
”わんわん”
「あら、あなた達もありがとうね」
”わんわん”
「えらいえらい」
”わんわん”
「えらいでしー」
”わんわん”
娘と息子も犬をなでくりなでくりしてる。
みんな縄文犬が大好きなのだ。
そして、犬も人間が大好きだ。
さて、今日は鹿のカツレツとソテーを作ろうと思う。
さて、作り方だがまず衣になる、穀物やクルミやドングリ、栃の実を、石皿で粉末にする。
それからシカの肉をまずは石斧で大雑把に断ち切った後、黒曜石ナイフで一口大に切る。
それに塩を適当にかけて、よくもみ、鴨の卵をくわえたあとでさらによく揉む。
木の実や穀物の粉末をつけて衣にする。
後は銅のフライパンで焼く。
ある程度焼けたら箸でひっくり返して十分に熱を通す。
カリッと焼き上がればカツレツっぽいもの出来上がりだな。
ソテーの方は適当な大きさに切って、山葡萄酒と塩を加えて焼くだけだ。
鹿の肉は熱を加えすぎるととても硬くなるので、さっと火を通して食べるぜ。
どちらもできたらそれぞれ皿に盛って食べる。
「お、うまいな」
「ええ、美味しいね」
シカ肉のカツレツ風はなんか懐かしい味だった。
ソースが無いのが残念だ。
葡萄酒と塩で焼いたソテーも美味いぜ。
鹿の内臓は犬たちのごちそうだ。
草食動物の腸は犬にとっては大事なビタミンの供給源でもある。
人間が腸をくおうとすると、洗浄などが大変だしな。
みんなでガツガツ食べてるな。
「これでしばらくは、ゆっくりできるな」
鴨と違って鹿はそれなりに大きいので、肉の量も多い。
冬場は低温でもあるので簡単に痛まないし、何日かたった後のほうが熟成も進むのでより美味しくなる。
寒い中で狩りをするのはやっぱり大変だから、しばらくはのんびりしたいぜ。
まあ明日は鹿の骨のスープでものんびり作るかね。
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